遺愛
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の後に、この話はもう終わりだとばかりに眉間にシワを寄せながらグウェンが語ると、応じたのはデジタルドラッグの服用者たちの対抗策を考えていたキリトだった。対するグウェンも、まさかキリトに呼ばれたとは思っていなかったのか、手を挙げたキリトへと口笛を吹いてみせて。
「へぇ。《黒の剣士》様が直々にお呼びなんて、光栄だわ……それで?」
「グウェンには、相手プレイヤーの動きを《麻痺》で封じてほしい」
……キリトの申し出は、考えてみれば簡単な話だった。倒してしまえばこちらを行動不能にするデジタルドラッグの服用者たちに対して、麻痺毒で行動不能にした後に捕縛しようという話だった。もちろん敵も麻痺毒の対策は打っているだろうためが、対人戦に特化したグウェンならば生半可な対策など無意味となる。……逆を言ってしまえば、グウェンやもう一人ぐらいしか俺たちには麻痺毒を扱える者はいない訳だが。
「あたし一人で全員を麻痺させろっての?」
「いや、もう一人……レコンに来てもらってるところだ。二人を守りながら、俺たちは敵を足止めする」
「しょうがないわね。ま、迷惑チーター討伐のお礼を運営から期待するから。で、もう一人ってのは?」
「今、リーファにリズ、シリカがシルフ領まで迎えに行っているよ」
グウェンの反応は上場で、どうやら手伝ってくれるらしい。そしてグウェン以外で毒系統のスキルを実戦レベルで鍛えあげているもう一人とは、あとはレコンのみしかいない。普段はシルフ領であるスイルベーンにいるレコンには、ひとまずメッセージで事情を軽く説明していて、リーファたちにレコンを迎えにアインクラッドから降りて貰っている。デジタルドラッグの服用者たちから道中で襲われないために、都合のついた三人での行動になっているが……明らかに、帰りが遅い。
「いや、リーファがいてやられるとは思えねぇがよ……」
話の途中で帰ってくると聞いていたために、明らかに遅い到着にメンバーに不安感が募る。服用者たちにやられるにしても、例の《死銃事件》ではあるまいし、こちらからすればただ帰還ポイントに死に戻りするだけの筈だが、それでも何かしてくるのではないかと不安にはなって。
「ッ!?」
その不安を破裂させるように、リズベット武具店の扉が破るように開け放たれた。すぐさま工房から店内に駆け出していくと、そこにいたのは予想していた人物ではなかった。いや、人物ですらない蒼い小竜が、息も絶え絶えに床へ倒れ伏していた。
「ピナ!」
「ピナ公だけがここにいる事態ってことはよ……」
既にフィールドから町に入ったために、そのHPは全回復してケガすらも見てとれない。ただしその様子は尋常なものではなく、かなりの激戦から離脱してきて、全速力でここへたどり着いたことを示
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