23. 涼風。……と、ぼく。
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「んー……幸せだー……」
「どーだ涼風ー。この摩耶さまに感謝するんだな! なんせ、あたしが教えた食べ方でそんなに幸せな気分にひたれるんだからなっ」
私がもっちもちのほっぺたで目玉焼きご飯を堪能していたら、摩耶姉ちゃんが腰に手を当て、胸を張って偉そうに、私を見下ろしていた。『ヘヘンっ』と、ちょっと鼻にかかったようにほくそ笑む。でも、私は別に感謝するつもりはない。
「てやんでい。あたいはな。やったことないだけで、元からこの食べ方を知ってたんだよっ」
「そうなのか?」
「前にゆきおが、同じ食べ方してるって言ってた」
摩耶姉ちゃんがあんぐりと口を開いた。榛名姉ちゃんは興味深そうに『へぇ〜』と言いながらお茶を注ぎ、お漬物をパリパリと言わせてる。私が前に聞いた時もそうだったが、ゆきおイコールとんかつソースという組み合わせは、やはり意外だったようだ。不思議とゆきおって、塩コショウって感じに見えるんだよね。
「あいつがか!?」
「うん」
「あんなに細っこかったのに!?」
「うん。しかも摩耶姉ちゃんと同じ食べ方」
「マジか……あの、細っこくて優しい感じの雪緒が……」
なんだか、私だけが知っていた驚愕の事実だったみたいだ。誰もゆきおのとんかつソースを知らなかったってのが、驚きつつも鼻高々だ。さすが、私と二人で一人。
ゆきおが大好きだった、とんかつソースをかけた目玉焼きご飯の残りを口に運び、そして頬張る。
「んー……幸せだー……」
「……おい涼風」
「んー? なんだよ摩耶姉ちゃん……あたいは今、幸せに浸ってて忙しいんだ……んー……」
「……ホント、雪緒くんそっくりですね……」
私が目玉焼きご飯を堪能するその姿を見た、摩耶姉ちゃんと榛名姉ちゃんの反応がこれだ。私はよほど、ゆきおに似ているらしい。
まぁそれも仕方ない。ゆきおは、私の中に生きている。だって、私とゆきおは、二人で一人なんだから。
朝食が終わり、姉ちゃんズと一旦別れた。自分の部屋で時計を確認すると、出撃までまだあと30分ほど時間がある。私は、軍病院の前まで、少し足を伸ばしてみることにした。
ゆきおがいた宿舎……軍病院は、あのあと正式に医療機関として活動を始めた。軍関係者はもちろん、近隣の一般の人たちも診察してくれる、軍と民間を繋ぐ医療機関として活動していくらしい。今日も軍病院は、たくさんの患者さんで溢れかえっているようだ。
私は桜の木の下のベンチに腰掛け、その様子をのんびりと眺める。
一際強い風が吹き、桜の木の少ない葉っぱがサラサラと音を立てて揺れた。風はとても冷たいが、カーディガンのおかげで、私は全く寒くない。むしろ、さっきの大騒ぎした朝ごはんやあたたかいカーディガンで温まった身体には、心地良い冷
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