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俺の涼風 ぼくと涼風
23. 涼風。……と、ぼく。
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い方してるな」
「ぇえ!? 目玉焼きって言ったら塩コショウだろー!? んで、黄身を突き崩してそこにベーコンとかハムとか突っ込んで楽しむもんだろー!?」
「ちげーよ!! 目玉焼きってのはなぁ!! とんかつソースをたっぷりかけて、ご飯の上でぐちゃぐちゃにして食べるのが普通だっつーの!!」
「ちーがーうー!!」
「ちーがーわーなーいー!!」

 塩コショウ派の私ととんかつソース派の摩耶姉ちゃんとの間に、果てしなくしょぼい戦いがはじまった。互いに立ち上がり、歯をギリギリと噛み締め、互いに拳を握りしめての、一歩も退かない、しょぼい戦い。

 そばで見てる榛名姉ちゃんは、冷や汗をだらだらと流して周囲の様子を探りながら、私たちを制止しようと必死だ。椅子に座って私と摩耶姉ちゃんのぷんすか顔を、おたおたしながら見比べている様子が、なんだか面白い。

「あ、あの……」
「「おい榛名(姉ちゃん)!!」」
「は、はい!?」
「「姉ちゃんは(お前は)どっちが正しいと思う!?」」
「え、えーと……」
「「……」」
「は、ハハ……」

 私達に言い寄られる榛名姉ちゃんは、途端に顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに口をとんがらせて俯いた。時々顔を上げ、なにか言いたげにむにむにと口を動かした後、思い直したようにハッとして、またうつむく。榛名姉ちゃん、目玉焼きになんかとんでもないものでもかけて食べてるのだろうか……。

 私と摩耶姉ちゃんが言い合いをし、榛名姉ちゃんがその仲裁に苦心していると、突然『カンカンカン』という、金属が叩かれた甲高い音が鳴り響いた。

「みんな!! おはよう!!!」

 音が鳴り、声がした方を向く。私たちの提督が、真っ白い上下の制服に身を包み、今日も笑顔で立っていた。おたまとフライパンを持って、私達の注意を引くべく奮闘するその姿には、息子を失った悲しみは、もう感じられない。

 提督は、ゆきおの告別式のあとも、この鎮守府に戻った。ゆきおが無くなった時、誰もが『もう提督をやめるのでは……』と危惧していたのだが……

――やめるわけがない
  雪緒は、自分の事は自分で最後までやるヤツだった
  その親父の俺が、途中で提督を投げ出すはずがない

 そういって、初七日が過ぎた頃にはもう、執務室で書類整理に勤しんでいた。当初は時々気分が落ち込む日もあったようだったが、今ではすっかり立ち直り、元気に過ごしている。

 その提督が、今日も私たちの予定を発表していく。私と摩耶姉ちゃんの第一艦隊は、南の方にある敵勢力圏内への攻撃。第二艦隊と第三艦隊は資材確保のための遠征任務で……

「第四艦隊はいつもの通りオリョールだっ!!!」
「んがぁぁあああああ!!?」
「ま、また過重労働でちっ!?」
「人の血が通ってないのね
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