第二話 必殺剣、仕る
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者である鬼瓦ですら目を流された。そして紫雨までも。
次の瞬間、納村が“消えて”いた。気配すらも感じさせずに。見事な視線誘導であった。気配を掴んだ時にはなんと、明るい髪色のツインテール女子のスカートの下に潜り込んでいた。次の瞬きには窓際へ。
「待て貴様! どこへ行くつもりだ!?」
鬼瓦がそう問うと、納村は不敵な笑みを崩さずに返す。
「俺の自由だろ? ま、次のチャイムが鳴ったら戻ってくるさ。あ、そうそう――」
先ほど、スカートの下へ潜り込んだ女子を指さし、納村は一言。
「――紫」
「ちょ、ちょっとぉ!?」
大人しそうなイメージからかけ離れた“派手さ”に、一瞬呆気に取られる一同。
紫雨でさえ、少しばかり集中を取り戻すのに時間が掛かってしまった。
「あーばよ!」
そう言い、納村は窓から飛び降りた。着地するは今紫雨達がいる本館校舎と講堂を結ぶ渡り廊下。高さは三階相当。受け身に心得があれば大怪我をすることはない高さである。
抜け目のなさに紫雨は舌を巻く。校舎に入る前に、外から下調べをしていたからこそ出来る芸当だということは理解できていた。
「三十六計逃げるに如かず。貴方の為にあるような言葉だ」
なれば自分は他の女子、とりわけ鬼瓦を外へ出さないように殿を務める。竹刀を構え、紫雨は鬼瓦の前へと立ち塞がる。
「警告はもう済んでいるぞ東雲ッ!」
刀を上段に構える鬼瓦。丁度柄頭だけしか見えず、間合いが掴めない。
――その瞬間、紫雨に電撃走る。
刃挽きしてあるのは分かるが、それでも竹刀で防ぐという手段は既に紫雨の頭から消えていた。
同時に脳内に警報がけたたましく鳴り響く。この打ち込みだけは絶対に受けてはならないと。
「ほぅ。受けずに避けるか」
空を切る刀。この打ち込みは少々、許容範囲を逸脱している。
「竹刀ごと腕をへし折らんばかりのその鋭く重い打ち。鹿島神傳直心流が一太刀――『刃隠の剣』とお見受けする」
「然り。たった一度で良く見切ったな」
「相対すべき相手へ辿り着くために、色々と研鑽を積み重ねたので」
「それは誰だ? 五剣の誰かか?」
「否。その“先”にいる者なり」
「……まさか『女帝』?」
「それも否。私が求めるは“雷神”」
珍しく話し込んでしまった。鬼瓦と紫雨の間に割って入るは先ほどの紫女子と短髪の女子。
「行ってください! ここは私達が!」
「早く追いかけた方が良いような」
「すまない!」
納村と同様に窓から飛び降り、物凄い速度で走り去っていった。
追いかけるのは不可能。変に邪魔されて着地をしくじる可能性があるので、飛び降りるという選択
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