第69話<お袋の味>
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親が艦娘たちのために、わざわざ部屋を広くしてくれたようだ。
『失礼します』
浴衣を着た艦娘たちは、口々に挨拶をしながら居間や和室に入る。
しかし改めて見ると、お風呂上がりの艦娘たちが実家の居間や和室に、たくさん居るというこの状況は、まるで観光地のホテルにしか見えない。
そんな彼女たちは、とてもリラックスしていた。
だが私は改めて両親に彼女たちの宿泊の件を、どうやって切り出そうかと悶々としていた。
私が葛藤して眉間にしわを寄せていると、お茶を準備しながら母親が言った。
「なんなら、家に泊まって行ってええぞ」
「え?」
これは意外な提案。
助かったと思う反面、つい否定的な言葉が口をついて出る。
「気持ちは嬉しいけど……こんなにたくさん一度に泊めるのは……」
すると母親は返した。
「えぇがん(良いじゃないか)? 夏だけん布団も要らンが? せに、この娘たち軍人だが? 野宿すぅよか、えぇが?」
「……まあ、それはそうだけど」
「父さん何も言わンよ。あぁ見えて艦娘たち気に入っちょオけんな。せにウチは軍人の家系だが? お盆に軍のお役に立てば先祖も喜ぶが?」
私は傍に居た祥高さんを見た。もちろん彼女は軽く頷いているし他の主要な艦娘たちも同様だった。
「分かった、有難う」
……そういうことで結局、泊まることで安着した。
ただ心配なのは彼女たちは、まだ夕食を食べてないことだ。店も閉まっているし……そう思っていたら母親が言う。
「盆で準備した食材があぁけん、直ぐ作るが」
「え?」
躊躇する私をよそに、祥高さんが応える。
「済みません、お母様。私たちもお手伝いします」
祥高さんと龍田さん、それに山城さんが手伝って簡単な夕食を作り始めた。
「母親は偉大だな」
小さく呟いた私は改めて自分の父母の大きさを感じるのだった。
懸案事項が落ち着いたところで私は改めて今のソファに腰をかけて周りを見た。
まぁ赤城さんを除けば、あまり食べる娘も居ないようだし……既に床やソファでダウンしている艦娘が結構いる。
(この光景は軍隊というよりも学生の部活動の合宿のようだが)
思わず苦笑する私。
母親が押入れからタオルケットを出して艦娘たちにかけてくれた。
なんだか、こういうのを見ても夜戦型かそうでないか垣間見えるようだ。
準備した夕食を居間の座卓に並べても結局、起きている私たちと赤城さんくらいしか食べなかった。
準備が終わって落ち着いた山城さんが利根と日向と一緒に父親を囲んでいる。
珍しいな……と思ったら航空機の運用について談義をしているらしい。しかも堅物の父親が嬉しそうに見える。
私は母親に「お父さん、嬉しそうだね」と声をか
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