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真田十勇士
巻ノ百一 錫杖の冴えその三

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「わしはな」
「では」
「うむ、それではな」
「またお会いすれば」
「宜しく頼む」
「こちらからも」
 幸村の方から言った。
「頼むぞ」
「さすればな」
「そうしてじゃが」 
 さらに言う後藤だった。
「今はじゃ」
「はい、このままですな」
「清海殿とな」
「修行をですな」
「させてもらう」
 こう言うのだった。
「是非な」
「それでは」
「それを続けようぞ」
 言葉通りにだった、彼等は修行を続けた。清海は汗を流しそうして修行に励んだ結果だった。
 清海はさらに腕をあげていた、棒を使う術だけでなく錫杖を操るそれもだった。後藤のところに来る前とは格段に違っていた。
 その錫杖の振りを見てだ、幸村は言った。
「見違える様じゃ」
「以前とはですか」
「うむ、これまでも凄かったがな」
「しかしですか」
「今は別格じゃ」 
 そこまでの腕になっているというのだ。
「しかも錫杖に気も入れておるな」
「はい」
「それも前からであったがな」
「今はよりですか」
「比べものにならぬまでに強い気を入れておる」
 錫杖にというのだ。
「そのせいか錫杖の威力が段違いに上がっておるわ」
「そこまでですか」
「その腕ならばじゃ」
 まさにというのだ。
「花和尚とも遜色ない」
「ははは、拙僧は花和尚の生まれ変わりと思っていましたが」
「しかしじゃな」
「生まれ変わっただけでなく」
「さらにか」
「強くなりたいですな」
「そのうえでか」
「はい、殿をお助けしたいです」
 こうも思っているというのだ。
「是非」
「そう言ってくれるか」
「確かに強くなりたいですが」
 しかしとだ、清海はそのとてつもなく重い錫杖を縦横にそれこそ棒切れを振り回すかの如く振りながら幸村に話した。
「しかしです」
「それでもか」
「はい、ただ強くないたいのではありませぬ」
「拙者の為にか」
「殿をお助けする為に」
 是非にというのだ。
「拙僧はその為にも強くないのです」
「そう言ってくれるか」
「はい」
 まさにというのだ。
「さもなければここまで張り合いがありませぬ」
「修行にじゃな」
「それはほかの十勇士の者達も同じですな」
「うむ、誰もがそう行ってくれる」
「拙僧たちは殿にお会いし主従となった時からです」
「そう決めておるか」
「ただ強くなりたいのではなく」
「拙者を助ける為にか」
「強くなりたいのです」
 そう考えているというのだ。
「我等も」
「そうか、では拙者もな」
「強くなられますな」
「そのつもりじゃ、拙者は槍と刀じゃが」
 幸村が得意とする術はこの二つだ、それと馬術に水練それに忍術を得意としている。
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