第三十九話 蒔かれた種
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者として正しい事だ』
と自信を持って言えた。
マクシミリアンは、世界平和なんて見えない物の為に、陰謀や軍備を怠り自国民を犠牲にするぐらいなら、陰謀を駆使して他国民を犠牲にし、自国民の利益に繋げる腹積もりだった。
誰の言葉だったか忘れたが、為政者が天国へ行きたがって陰謀や軍備を怠れば、代わりにに国民が地獄を見る事になる。逆に為政者が地獄に落ちる覚悟で、事に及べば国民は天国を見ることがが出来る。
例外もあるだろうが、マクシミリアンはこの言葉が頭から離れなかった。
政務も粗方終わり、一息入れようとベランダに出ると、珍しいものを見た。
新宮殿の敷地内をアニエスと養父のミランが並んで歩いていたからだ。
「……仲直りしたようだな」
ウンウンと頷き、メイドに紅茶とワインを頼んでワインの紅茶割りを楽しむことにした。
☆ ☆ ☆
帝政ゲルマニアの帝都プラーカは、チェック人と呼ばれるスラヴ系の部族の集落が始まりと言われている。
ゲルマニアに征服された後、選帝侯の一つ、ボヘニア王の首府としてプラーカは整備され、やがて『黄金のプラーカ』と呼ばれるまでに大都市に成長した。
現ゲルマニア皇帝が風邪を拗らせ一時危篤状態に陥ったと聞き、皇帝の居城であるプラーカ城には珍しく選帝侯が勢ぞろいする事になった。
選帝侯とは『皇帝を選ぶ為に選挙権を得た諸侯』の意味で、皇帝が死んだ場合、7つの選帝侯から一人、次期皇帝として選挙で選ぶ事になっている。
元々、都市国家が集まって今のゲルマニアが出来た事情から、誰が一番偉いという訳ではなくその時その時代に最も強大な権力、国力を持つ選帝侯が大抵の場合、皇帝に選ばれていた。
プラーカ城のとある一室には、6人の選帝侯が集まっていた。
ゲルマニア皇帝でありボヘニア王を兼任するコンラート6世は今年78歳、80前の老人が風邪を引いたとなれば、ひょっとしたらひょっとするかもしれない。
コンラート6世を除く6人の選帝侯はは長机を囲み、それぞれ難しそうな顔をしていた。
オーストリ大公アルブレヒトは次期皇帝選挙の票集めの為、何より各選帝侯の出方を伺う為、プラーカにやって来た。
オーストリ大公領の首府ヴィンドボナは帝都プラーカよりも栄えているという事で次期皇帝の最有力候補を言われていた。
そのアルブレヒトの皇帝選出に待ったをかけるのは、北東部の雄ブランデルブルク辺境伯だった。
彼の領地の北部はヴィンドボナのある南部と違って寒冷地という事もあり土地は痩せていて貧しかったが、ゲルマニア最強と名高いゲルマニア騎士団を配下にし、最も強大な軍事力を有して
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