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俺の涼風 ぼくと涼風
22. 本当のぼく
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か、肌の色そのものはとても綺麗だ。

 顔を覗く。確かに肌そのものは綺麗だけど、唇が真っ青で血の気がない。だけど顔はとても穏やかで、顔だけ見れば、なんだかそのままあくびをして起きてきそうなほどだ。

 青白いゆきおの手を、私はギュッと握りしめる。ゆきおの手は、信じられないほど、冷たく冷えきっていた。

「……おーい。ゆきおー」

 囁くように声をかける。ゆきおは、返事をしない。

「起きろーゆきおー。あたいがきたぞー。二人で一人の、あたいが来たぞー」

 やっぱりゆきおは、返事をしない。

「……そっかー。ゆきお、起きてくれないかー……」

 提督が、帽子を目深にかぶる音が聞こえた。でも、ゆきおは返事をしてくれなかった。

「……がんばったもんな。あたいを助けようとして、痛い思いをしても、がんばってくれたんだもんな。あたいの知らないところで、ずっと……ずーっと、一人で頑張ってたらしいもんな」

 ……なら、お寝坊さんするのも、仕方ないよな。ずっとお寝坊さんするのも、仕方ないよな。

 ゆきおの冷たい手を離し、私は右手でゆきおの頭を撫で、そして左手で、ゆきおのほっぺたに触れた。私が今まで何度も自分のほっぺたを重ねたゆきおのそれは、今、とてもとても、冷たかった。

「……おやすみ」

 私は涙がこぼれないように、一度大きく息を吸い、そして吐いた。一度上を向き、涙をこらえた後、もう一度、涙で滲んだゆきおの、穏やかな顔を見た。

「ゆ……きお……」

 きっともう起きることがないであろうゆきおへの、最後のお別れ。最後に名前を呼んで欲しかったけれど……せめて、返事をして欲しかったけれど……

 床の上では、提督が壁にもたれるように、腰を下ろしてあぐらをかいていた。帽子を目深にかぶっているから、表情はよく見えない。私は、提督の隣に座り、二人でゆきおを眺めた。

「……昨日は悪かったな。お前の前で取り乱して」
「んーん。あたいも、ごめん……」

 二人でゆきおのベッドを眺める。ゆきおの足元の床に座っている私達からは、ゆきおの表情はまったく見えない。少し背筋を伸ばせば、ゆきおの足だけは見える。

「指輪は受け取ったか?」

 提督に指摘され、私は左手の薬指に触れる。自分の目の前まで持ってきた左手の薬指には、ゆきおの指輪が静かに優しく、輝いていた。

「うん」
「あいつな。東京に出た時、毎晩それ自分で作ってたんだ」
「そっか」
「『なにやってんだ?』て聞いたら、『指輪作ってる』って。お前とパンツ買いに行った時、手作り用のキットを買ったみたいだけど、すぐにノムラの騒動があっただろ? で、お前を心配してずっと一緒に寝てて、作れなかったからって」
「……」
「おれが昔『惚れた女には指輪を
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