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俺の涼風 ぼくと涼風
22. 本当のぼく
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……

 もっと沖に出ているのかも知れない……いや、ひょっとしたら通り過ぎたのかも知れない。東の方に向かったのかも……ゆきおが言ってた……なんだっけ……あの半島の影に隠れてるのかも。いや、西の方の、隣の鎮守府に顔を出してるのかも……周囲をキョロキョロと探す。

 でも、ゆきおの姿は見当たらない。

「おい!! 涼風!!!」

 主機だけをつけた摩耶姉ちゃんが、私を追いかけてきたようだ。私を連れ戻しに来たのか。私は摩耶姉ちゃんから距離を離そうと正反対に逃げる。今帰るわけにはいかない。ゆきおを探さないと。きっと今、舵が取れなくて困り果ててるだろうから。だからゆきおを探さないと。

「来るな摩耶姉ちゃん!!! あたいはゆきおを探すんだ!!!」
「いないんだよゆきおは!! もういないんだって!!!」
「ウソだ!!! 今、沖に出てるんだろ!? それで、まだ帰って来ないんだろ!?」

 でも、摩耶姉ちゃんは私よりも速い。私も必死に逃げたけど、すぐに摩耶姉ちゃんに追いつかれ、そして左腕をガッシリと掴まれた。

「ゆきお、艦娘になったんだろ!? やっと艦娘になれたんだろ!? あたい、知ってたんだ! ゆきおがこっそり教えてくれたんだ!!」
「あいつ、お前にそんなこと言ってたのか……」
「それでうれしくなっちゃって、今沖に出てるんだろ!!? あたいと一緒だとはしゃぐかもしれないから、あたいを連れ帰るんだろ!!?」
「涼風ッ!!!」
「嫌だ!!! 死んだなんてウソだ!!! ゆきおは生きてるんだ!!!」

 摩耶姉ちゃんに左腕をぐいとひっぱられ、そして私は、摩耶姉ちゃんに強く抱きしめられた。

「もういい……ッ!!」
「離せ!!! あたいはゆきおを探しに行くんだ!!! はーなーせぇぇぇええ!!!」

 ゆきおを探しに行きたくて……摩耶姉ちゃんたちのウソを信じたくなくて、私は必死に摩耶姉ちゃんの腕を振りほどこうとする。だけど摩耶姉ちゃんの力はとても強くて、私ではとても振りほどけない。

「……もうやめろッ」
「やめろって何だよ!!! なんでゆきおを探しちゃいけないんだよ!!! 返事してくれよゆきお!!! ゆきお!!!」
「もういないんだ」
「ウソ言うな!!! 摩耶姉ちゃんなんか嫌いだ!! 大嫌いだ!!! ゆきおは艦娘になったのに!!! 艤装つけて主機つけて、あたいを助けに来たじゃねーか!!!」
「男の艦娘なんて、全部あいつのウソだよ……お前が一番わかってるだろ?」
「ゆきおをウソつき呼ばわりするな!!! ゆきおがあたいにウソなんかつくわけないだろ!!! ゆきおは艦娘になったんだ!!! 艦娘になったんだ!!!」
「お前の高角砲で肘が外れてただろ? あいつは、ただの……人間なんだよ」

 ウソなんかじゃない。ゆきお
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