22. 本当のぼく
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、胸が暖かくなるから。ゆきおに名を呼ばれた時のように、胸いっぱいになるから。
そして、カーディガンが私を温めてくれているのは、きっとゆきおが、私を包んでくれているから。
三度漂う、消毒薬の匂い。これはきっと、ゆきおがそばにいる証。私の声を聞いて、そして見守っている、ゆきおの言葉。
――ぼくはここにいる
消毒薬の匂いが、ゆきおの言葉として私に届いた気がした。
そっか。ゆきおは、あたいと、本当の意味で、二人で一人になったんだな。
ありがとうゆきお。約束を守ってくれて。
「涼風……東京で告別式をやらにゃいかんのだけどな」
「うん?」
「お前も雪緒の相方として来るか?」
提督が、天井を見上げながらそういう。きっと提督は、私の為を思って言ってくれているんだ。ゆきおの死を受け入れられないかも知れない私のことを思いやって、そう言ってくれているんだ。
だけど提督。それは心配ないよ。
「提督。あたいは行かない」
「……」
「ゆきおとあたいは、二人で一人だ。ゆきおは今も、あたいと一緒にいる」
「……」
「大丈夫。悲しいけれど……大丈夫。だってあたいには、ゆきおがいるから。改白露型駆逐艦4番艦の男の艦娘……涼風こと、ゆきおがついてるからさ」
「……そっか」
……なあゆきお、そうだろ?
そう思った途端、指輪を通した薬指が、むずっとした。?
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