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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
ギリシア神話
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ののしっかりと名乗る。
「改めまして、ギリシア神群において実質全ての決定権を握っております、ヘラと申します。以後、お見知りおきを」
「・・・全権、ゼウスじゃないんだな」
「ええ。男尊女卑によって成り立っているギリシア神話ではありますが、あの人には到底全体をおさめることなどできませんもの」
逸話的にはこの人にもできない気がするのだけれど、その辺りはまあ他の人たちも手を貸して何とかしているのだろう。と言うかそうでも無い限り回るわけがない。ハチャメチャ具合ではギリシア神話とかもう手のつけようがないレベルじゃないですかヤダー。
「つーか、冷静に考えると立場ものすごいことになってんだな。妻兼姉兼妹って」
「あなた方の時代ではおおよそ考えられない事態なのでしょうね」
「や、姉と妹が混在しているのはどの時代でも考えられないと思うんだけど」
一輝にしては珍しくまともなツッコミを入れたのだが、そんなものはすぐ隣からの声によってかき消される。
「そんなことないですよ、私はその立場を狙ってますし!」
と、一輝の顔を押しやって口を出したのは彼の妹であり頭おかしいレベルでブラコンをこじらせてしまった湖札である。実のではなく義理の妹ではあるが、それでもやはり倫理観の問題は存在する。上層にそういったことを成している神話の住人がいるにはいるのだが、それはあくまでも上層の価値観。中層、下層ではそれらのことに対する世間の目は、場所にもよるが存在することだろう。であるのならば、それは乗り越えなければならないハードルではあるのだ。
・・・まあ、上層に実際それをしている例が、というかそれ以上のことをしている例が存在するのだし、すぐに受け入れられそうといえばられそうなのだが。
「あら、貴女も?えっと・・・」
「あ、改めまして。鬼道湖札です」
「そう、では湖札。いくつか質問いいかしら?」
「ええ、いくらでもどうぞ」
もうそのまま押しのけきって一輝の席を奪い取った湖札。それに対しヘラは姿勢を正して対面したので湖札もまた姿勢を正す。
「なぜそれを望むのですか?」
「理由なんてありません」
「貴女の兄のどこに惹かれたのですか?」
「特定の要素なんてありません」
「貴女とは親友になれそうですね」
「私もそう思います」
二秒の沈黙。その後ヘラの方から手を差し伸べた。自分たちの文化ではなく、相手の文化で友好の証を示す。そんなギリシア神話主神の妻という立場ではありえないような行動に対して、しかし湖札は気がねすることなくその手を取る。立場など関係ない。この二人は今、ただ一つの共通点によって手を取っているのだから。
・・・いややっぱりおかしいだろ。理由がちょっと頭いかれてんだろ。常識ってもんはないのか常識は。理性で欲望を抑えられる
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