21. 二人で一人(3)
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きおも……あたいにカーディガンをかけてくれて、あたためてくれた」
そして榛名姉ちゃんと仲直りさせてくれて、ノムラに囚われていた私のことを、ぼろぼろになりながら、助け出してくれた。
「……父さんから聞いた。一番大切な人には、指輪をあげるものだって」
「……」
「そして相手の左手の薬指に、通してあげるものだって」
ゆきおが私の薬指に、二連の指輪をスッと通した。指輪のサイズはぴったりで、ぐらつくこともなければ、窮屈なこともない。絡み合った2つの指輪が今、私の薬指で、月の光を受けて、静かに輝き始めた。
「だから、これを涼風に上げる」
「……うん」
「涼風は、ぼくと二人で一人だから。……世界で一番、大切な涼風だから」
「うん……うんっ……」
左手を上げ、薬指に通された二連の指輪を見る。カーディガンの袖がストンと落ちた。私の左手にある指輪は、月明かりを受け、静かに優しく輝き、そしてゆきおのぬくもりを届けてくれる。
その手を自分の胸に当てた。途端に胸に広がる、ゆきおのぬくもりが心地良い。目を閉じると、まるでゆきおと手を繋いで一緒に歩いてるような……そんな気さえする。カーディガンから漂う消毒薬の香りが愛おしい。
「……涼風」
「ん?」
ゆきおに呼ばれ、私は目を開き、ゆきおと見つめ合った。
「忘れないで。ぼくは、ずっと一緒だよ」
「うん」
「ぼくと涼風は、二人で一人だから」
「うんっ」
「……僕は、涼風とずっと一緒にいるからね」
月明かりに照らされた、私に向かって優しく微笑むゆきおは、いつもの真っ白な服も相まって、まるで月明かりの中に消えていきそうなほど、キレイで、そして儚い。
私は、真っ白に消えていきそうな、とても儚くなったゆきおの手を取り、そしてその手をギュッと握った。
「……ゆきお、ありがとう」
「うん」
「大事にする。一生、大事にするから」
「……うん」
その手は、さっきまでのゆきおとは別人であるかのように、とても冷たかった。
「……じゃあ、ちょっと行かなきゃ」
「……ゆきお?」
ゆきおの手が、私の手の中からするりと抜けた。私の手の甲を人差し指でなでた後、名残惜しそうにゆっくりと、私の手から距離を離した。
「どこ行くんだ?」
「どこにも行かないよ? ずっと一緒にいるから」
……なんだか、ウソをついているような気がした。立ち上がり、私に背を向けてドアに歩いて行くゆきおの手をつかもうとして、一瞬、手が届かなかった。
「ゆきお? ホントにどこもいかないのか?」
「うん」
「だったら一緒に寝ようぜ」
私も立ち上がり、ゆきおを呼び止める。ゆきおに近づき、その手を取ろうとする。けれど、なぜかそれ以上近づけない。あ
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