21. 二人で一人(3)
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の明かりをつけるのも忘れ、何度もゆきおの名前を呼び、そして涙を流し続けた。
どれだけの時間、私は泣いていたんだろう。時計を見てもよく分からない。とにかく長い時間、私はずっと、ゆきおの名を呼び、ゆきおの温かさを求め、泣き続けていた。
不意に、コンコンというノックの音が聞こえ、私はドアを振り返る。こんな時間に誰だろう……誰なのかはさっぱりわからないけれど、今は人に会いたくない。
今日は帰ってもらおうと、私が口を開きかけたその時。
「……涼風?」
私の耳に届いたのは、私がずっと待ち焦がれた、とても心地よい、優しいけれど、とてもよく通る声だった。
「……ゆきお!? ゆきおなのか!?」
「うん。夜中にごめんね。入っていい?」
私は急いで立ち上がり、縺れそうな足を引きずって、必死にドアまでかけていく。震える手でカギをパチンと開き、ドアノブをひねって、ドアを勢い良く開いた。
ドアの向こうにいたのは、とっても華奢で細っこくて、手の平は私と同じぐらいの大きさしかない、見た目で言えば女の子にしか見えない男の子。
「……ゆきお」
「涼風」
「うう……ひぐっ……ゆき……ひぐっ……」
「おはよ」
「おはよ……ゆきお……ひぐっ……おあよ……ッ!」
「おはよ」
でもとても頼りになり、私を幾度と無く助けてくれた、私と同じ、改白露型駆逐艦4番艦、涼風の名を関する、史上初の男の艦娘。
「ゆきお……ゆきおぉおお!!」
「!?」
いつも真っ白な室内着の上からクリーム色のカーディガンを羽織り、暖かい手で私と手を繋いでくれ、そのカーディガンで私を温めてくれる、とてもとても温かくて、そして優しい、私と二人で一人の、大好きなゆきおだった。
私は我慢できず、泣き叫ぶ私にびっくりするゆきおに思い切り抱きつき、そして力の限り抱きしめた。
「おごごゴゴ!? す、涼風っ!?」
「ゆきお……!! ゆきおぉおお!!」
「く、苦し……ぐががが!?」
温かい……とても温かく心地いい、ゆきおのぬくもり。さっきまでの体の冷たさがウソのように引いていく。こうやってゆきおを抱きしめているだけで、胸がぽかぽかと温かく、そして心が満たされていく。
「す、涼風……ッ。ちょ、ちょっと放して……」
「てやんでぃべらぼうめえ!!」
「……?」
「あたいとゆきおは二人で一人! 同じ改白露型4番艦だろ!?」
「う、うん……」
「それなのに、ずっとずっとお寝坊さんしやがって! あたいにこんなに心配かけて!!」
「うん……」
「おかげであたい、ずっと寒かったじゃねーか!! お礼だって言ってないし、ずっと……あたい……ひぐっ……ずっと、寒かったんだぞ……ッ!!」
「うん……ごめん」
「だから……ひぐっ…
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