21. 二人で一人(3)
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たほどだ。
初めて海に立った時は、うまく曲がることが出来なくて、半べそになって私に助けを求めた。パンツを買いに行った時は、たくさんの人が見ている前で言い合いにもなった。私が選んだパンツを『いらない』と一蹴したくせに、あとになって、私に内緒でこっそり自分が履いていた。
私と榛名姉ちゃんを仲直りさせてくれもした。恐怖で震える私に、温かいカーディガンを貸してくれた。私を激励し、無線でフォローしてくれ、私に再び戦う勇気を思い出させ、寒さで震える私の手を取り、温めてくれた。
――涼風から離れろぉぉオオッ!!!
そして、私がノムラに襲われた時は、摩耶姉ちゃんと一緒に、私のことを助けに来てくれた。ボロボロになり、辛い思いをして、それでもノムラに負けずに立ち向かい、そしてとうとう、私を助けだしてくれた。
「ゆきお……ゆきおぉ……」
なぜだろう。ゆきおと出会ってから今日までの思い出を、いくつもいくつも思い出す。
目を閉じると、部屋のベッドの上で、上体を起こしているゆきおの姿が目に浮かぶ。いつも笑顔で、私と話をしてくれたゆきお。いつも私を助けてくれ、いつも温めてくれたゆきお。
―― こ、これで……ここにいるのは、ぼ、僕達だけだっ
私が震えていたら、いつもすぐに私を温めてくれた。手を握ってくれた。カーディガンを貸してくれた。一緒に布団の中に入ってくれて、一緒に寝てくれた。寒いでしょと私を気遣い、カーディガンの前を止めてくれた。私のお腹を見て、『キレイだから誰にも見られたくない』と言ってくれた。
―― 僕と涼風は、ケフッ……二人で一人だから
自分と私のことをそう言ってくれた。二人で一人だと言ってくれた。自分のことを“男の艦娘”といい、そしてホントに“艦娘”になって、帰ってきた。改白露型4番艦、涼風になってくれた。名実ともに、ゆきおは、私と二人で一人になってくれた。
「ゆきお……寒いよ……」
体が寒くなる。ノースリーブでむき出しの肩が急に冷え始めた。この部屋の中に、私は今、一人でいる。その事実がとても寒く、そして悲しい。
「ゆきおぉ……会いたいよ……話がしたいよぉ……」
我慢していた言葉を、私は口にしてしまった。その途端、途端に目に涙が溢れ、ボロボロと流れ始めた。
なぁゆきお。あたいとゆきおは、二人で一人だったはずだろう?
それなのに、なんで目を覚ましてくれないんだ? ゆきおがいっしょにいないと、寒くて寒くて……
「ひぐっ……寂しいよゆきおぉ……目を覚まして……話がしたいよ……手を繋ぎたいよ……ゆきおぉ……」
右手の甲で涙を拭うけれど、後から後から涙が流れて止まらない。体が寒い。これは恐怖からじゃない。私は、満月に顔を向け、目をぎゅっと閉じて、部屋
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