最終章:夢を追い続けて
第56話「意味を遺したい」
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の相手はいる。
その相手が、砂埃の合間からこちらを狙っているのが見えた。
「(役立たずな俺でも、盾くらいにはなれるんだよぉっ!!)」
痛む体に鞭を打ち、一夏は仁王立ちする。
恐怖で体は震えている。死が怖くないはずがない。
...だが、それでも、もう現実から逃げるのは嫌だったから。
だから、一夏はその場から動こうとしなかった。
―――...ふぅん。ちょっとは、見直したかな。
キィイイン!
「....え...?」
山田先生の驚いた声が一夏の耳に届く。
既に自分は、撃たれたはず。なのに、なぜ声が聞こえるのか。
そう思い、目を開けると...。
【SE...このボディでも使えるんだよね。】
「お前...は...ぐ...!?」
【あー、無理しすぎだよまったく...。というか、チヴィットの子たちももうちょっと考えて欲しかったな。エネルギーの残量を気にせずにぶっ放すなんて。】
力が抜け、倒れていく一夏の視線は球体に羽が生えた“ソレ”に釘付けだった。
少女のような声が聞こえる“ソレ”は、一夏も知っている存在だ。
「...白、式....?」
【...どん底まで叩き落されて、ようやくまともに...って事かな。...後は任せなよ。防ぐだけなら私にもできるし...。それに、あの人も来たから。】
白がそういった直後、空から一機のISが降り立つ。...秋十だ。
「...夢追、悪いけどここからはSEの防御だけでいい。他の人を巻き込んでしまうからな...。」
倒れている生徒...そして一夏を一瞥して、秋十はそういった。
その目には、確かな怒りが宿っていた。
「...覚悟しろ、自分勝手なテロリスト共。」
そして、IS学園を対象としたテロ事件は解決した。
秋十が介入した直後に更識家の者が到着、瞬く間にテロリストを制圧した。
死者は警備をしていた何名かのみで、生徒や教師には解決時にはいなかった。
テロを起こした男達は、然るべき裁きを受けた。
学園とテロリスト、互いに死者は何名か出たものの、ほぼ最善となる解決だった。
「撃たれた女子生徒は幸いな事に軽傷。後遺症も残らん。だが...。」
「出血が多いのもあって、どうなるか分からない...という訳です。」
だが、唯一。一夏だけは、その枠に当て嵌まらなかった。
一夏は山田先生を庇ってアサルトライフルの銃撃を受けた。
当たったのは数発とはいえ、出血も多く、応急処置では助からない程だった。
今は学園内の緊急治療室で命を繋いでいる。
「...馬鹿者が...。今更手遅れだと言うのに
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