最終章:夢を追い続けて
第56話「意味を遺したい」
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掛かっているのを見て、ハッとする。
「っ!(これを...!)」
近くの倒れた男から銃を奪い、行動を始めた。
この状況では、誰かが撃たれる可能性が高い。
...だから、せめて―――
「(俺が、引き付ける!!)」
そう考えた一夏は、男たちに向けて銃を放つ。
彼には、人を殺す覚悟などできていなかった。
だけど、それでも初めて“誰かを助けるため”に行動した。
「ぉぁあああああああああ!!!!」
雄叫びを上げながら、一夏は銃を撃った。
時には、暴れまわるように、時には、逃げ遅れた誰かを庇うように。
それが本能か、考えてかは分からないが、ただ“そういう風”に動いた。
ただ、“無意味”だった自分でも、誰かに役に立つように、そう思いながら。
カチッカチッ!
「っ....!」
銃弾を撃ち尽くした。そう理解した時には、辺りは砂埃で見えなかった。
男だけでなく女生徒の呻き声も聞こえる。
これだけ乱戦気味になったのだから、怪我人がいてもおかしくはない。
例え御神の剣士がいた所で、護り切れる訳ではなかったのだ。
幸いと言えるのは、生徒に死人はいなかったという事だろう。
「はぁ....はぁ....。」
「織斑君!」
「っ...!?」
いつの間にか皆が避難した出入り口に近づいていたらしい。
山田先生に呼ばれた一夏は、驚いて振り返る。
...と、同時に、視界に男が銃を構えているのを捉えた。
「っ....!!」
「え、きゃっ!?」
手に持っていた銃を放り出し、全力で山田先生へと駆ける。
飛び込むように山田先生を突き飛ばし....銃声が響いた。
「っ....ぁ....!?」
「ぇ....?」
それを見ていたほとんどの人間が、何が起きたか理解できなかった。
腹から血を流し倒れる一夏。それを見て、撃った男は笑った。
「へ、へへ...ざまぁみろ...がっ!?」
「....ちっ...!」
すぐさまその男は恭也によって気絶させられた。
しかし、既に行動した後と言う事で、恭也は舌打ちした。
「ぐぅ...ぁ....!?」
「織斑君!...そんな、私を庇ったせいで...。」
燃えるような痛みに、叫ぶ事もできない程に悶える。
山田先生が申し訳なさそうに駆け寄ってくるが、それも一夏の耳には入らない。
「(まだ...だ....。)」
「そんな...立ち上がったら...!」
「(ずっと、迷惑を掛けてきた...なら、最後くらい、役に立たないと...!)」
まだ敵は残っている、と一夏は無理矢理立ち上がる。
恭也や士郎が奮闘しているとはいえ、ノーマーク
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