第一章 ハジマリ
第29話 協力要請
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ワを寄せ困惑したような、怪訝そうな表情を浮かばせていた。
「すみません、いきなりこんなお話をしてしまって……。でも、今話した内容は嘘でも、冗談でもありません。この世界に今、危機が訪れようとしている……お願いです、ボクに力を貸してくださいっ」
そうアステリが頭を下げるも、やはり皆、急の事に信じられないのか……誰一人として頷く者はいない。
アステリは下げた頭をゆっくり上げると、周りの状況をぐるりと見回し「やっぱり……」と諦めたように一つ呟いた。
そんな状況に居ても立ってもいられなくなったのか、天馬は困惑している部員達に向かい声を上げる。
「皆、アステリの言葉を信じてください! 確かに混乱しちゃいますけど、このまま何もしないでいると、俺達のサッカーに対する気持ちが全部なくなっちゃうんです!」
「信じろって……んな話、急にされてもよ……」
天馬の言葉に、倉間が困った様に言葉を返す。それでも尚、言葉をかけようとした天馬に傍にいた神童が口を挟んだ。
「天馬。俺達も信じたいが、突然の事でみんな頭が追い付かないんだ。少し、理解する時間をくれないか……?」
「神童先輩……」
「……皆は、ボク達とは違って実際にモノクロ世界の奴等に会った訳じゃ無いから……仕方無いよ」
そう小さく零したフェイの言う事はもっともだった。
昨夜の自分達も、あのカオスと言う男に会ってさえいなければ全く同じ反応をしていたはずだ。
だから「時間をくれ」と言った神童や他の部員達の事を責める訳にはいかず、部屋には沈黙が残った。
「どうしたら、みんなに分かってもらえるのか」……静まり返った部屋の中で、天馬の頭は必死でその方法を模索していた。
いつもは賑やかな部室の、慣れない重苦しい空気。
そんな沈黙を打ち破ったのは……マネージャー、葵の悲鳴だった。
「きゃあ!!」
「!?」
突然の悲鳴に、その場にいた全員が声の主の方向を向く。
傍にいたマネージャー仲間の水鳥や茜、幼馴染の天馬が慌てて葵の傍へと駆け寄ると、その身が微かに震えているのに気が付いた。
「葵、どうしたの!?」
「天馬……。か……壁が…………」
「壁?」
震える声でそう唱える葵の指さす先を見る。瞬間、その場の全員の表情がゾッとした驚愕の色に染まる。
全員が見詰める先。震える葵の視線の先には――――色の抜けた黒色の壁があった。
「これって……!」
予想外の出来事に驚き戸惑う一同をよそに、アステリ、フェイ、ワンダバだけはそう声を上げた。
壁から始まり、天井や床、設置されていた観葉植物やソファ等、その場にある全て物から徐々に色が抜け落ちていく。
瞬く間に様変わりしていくその異様な光景が、つい何時間前に自分達が見た光景と酷似し
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