ペルソナ3
1801話
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視線は横にずれ……ゆかりの隣にいる俺に向けられる。
髪はゆかりと同じくらいのショートカットだが、年齢を重ねた女の色気というべきものがある。
少しだけ酔っ払っているのも、その大人の雰囲気に関係しているのかもしれないが。
……前後不覚になる程に酔っ払ってしまえば、色気も何もないからな。
だが、顔立ちという意味ではやっぱりゆかりの方が上だろう。
「知り合いか?」
取りあえず俺の知り合いではないのは間違いないし、ゆかりを見て動きを止めていたのだから、知り合いだとすればゆかりだろうというのは容易に想像出来たので、そう尋ねる。
向こう同様、こちらも動きの固まっていたゆかりは、俺の声で我に返り、口を開く。
「えっと……うん。その、学校の先生」
「……なるほど」
学校の教師というのは色々と大変だというのは噂で聞いた事がある。
であれば、こうしてたまの休みに友人達と一緒に羽目を外すのも無理はない。
なら、このままスルーして他の場所で花見をしようかと思ったんだが、向こうはそう思わなかったらしい。
「えっと、岳羽さんよね? 貴方もお花見に来たの?」
まだあまり酔っていないからか、特に足下もふらついたりせずにその教師はこっちに近づいてきてそう声を掛けてくる。
「はい、鳥海先生。……先生もお花見ですか?」
「あはは、そうなのよ。けど、まさかこんな場所で岳羽さんに会うとは思ってなかったわ。……それに……」
一旦言葉を切った女……鳥海とゆかりに呼ばれた女は、その視線を俺の方に向けてくる。
「まさか、岳羽さんが彼氏と一緒に花見に来るなんてね。羨ましいわ」
「かれ……ち、違います! アクセルは、その……」
「あら、君はアクセル君って言うの? 留学生か何かかしら?」
「あー……まぁ」
取りあえず鳥海は教師だという話だし、色々と俺に関係する話を教えるのは不味いだろう。
ましてや、実は俺がパスポートの類も持っていない不法滞在者だと知られれば、更に不味くなる。
もっとも、俺は正確にはこの世界の人間ではないのだから、どこの国にいても普通に不法滞在者という扱いになるんだが。
「ふーん。……月光館学園の生徒……じゃないわよね?」
それにどう答えるべきか迷うも、俺が何か言うよりも先に鳥海が再びゆかりの方に視線を向ける。
「いい? 花見に来たのはいいけど、羽目を外しすぎないようにね」
それだけを言うと、鳥海はそのまま友人達の方に戻っていく。
酔っ払っているせいか、それとも単純に興味がなかったのか、俺については殆ど聞くようような事はなかった。
まぁ、詳しい事を聞かれなくて安心しているのは、間違いのない事実なんだけどな。
ゆかりを見ると、こちらも俺と同様に……
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