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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十四話 誓いをここに
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ためには相手を理解すること。
呼吸、力の入れ加減、視線、姿勢、相手の行動パターン。
考えればキリのないそれを制することが鍔迫り合いで絶対勝利をする方法。
そういう意味では、
「せいっ!」
「うおっ!?」
コイツは読みやすい。
俺は瞬時に脱力しながら後ろに下がり、相手の姿勢を崩した。
ただでさえここは空中だ。
地面のないここで一度でも体制を崩せば、あとは空中で重力と勢いに振り回されてしまうだけだ。
空戦魔導師はそれに慣れてるため、そこから体勢を直すのが早い。
けど、それを理解した上で俺は体勢を直される前に背後から刀を振るう。
「ぐあっ!?」
斜め左右に交差するように振るった斬撃によって完全に体勢を崩したアイツは斬られた勢いのまま、高い水飛沫を上げながら海に落ちた。
久しぶりの戦闘が原因で感覚が鈍っており、上手くアマネを振るっているのか不安だったが、今の一撃の手応えで少しずつ感覚を取り戻せてると実感できる。
もちろん、中途半端な感覚で倒せるほど弱い相手じゃないのは分かってる。
だから俺はアマネを銃の形に変形させ、アイツの落下地点に銃口を向けておく。
何か変化があればすぐに発砲できるようにするためだ。
が、そうやって待機したのは失敗だったらしい。
「ッ!?」
海面から大きな泡が一つ浮かんできた。
そう思った瞬間、浮かんできた泡は爆発音とともに、雲まで届きそうな高さの巨大にして長い水柱を立てた。
俺はその場から離れて再び銃口を向けると、水柱の中から全身を漆黒の炎を鎧のように纏ったイル・スフォルトゥーナが現れ、こちらに突撃を仕掛けてきた。
「アマネッ!」
《了解です!》
名前を呼ぶだけで、アマネは俺の求める魔法を瞬時に判断し、魔法陣の展開を始めた。
足元に展開する黒い円形の魔法陣。
銃口を囲うように展開する複数の術式。
それに反応するように輝きを増す魔力の放流。
そして銃口の先に集まった黒い球体型の魔力は、徐々にその密度を増していく。
(今度は俺が見せてやるッ!)
高町 なのはがずっと使っていた、俺が最も得意とする直射型の砲撃魔法。
「ディバイン・バスターッ!!」
トリガーを引いたと同時に、黒い球体はレーザーのように一直線に伸びていき、こちらへ迫るイル・スフォルトゥーナに向かっていく。
「喰らえ、暴食の黒龍!」
対してアイツは全身の黒炎が、それ以上にアイツの刀に吸い込まれ、禍々しい魔力を浮かび上がらせる。
その剣の柄を両手で握り締め、前方に突きのように押し出すと、切っ先から前方に魔力が発射された。
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