第十七話 学術都市その十二
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「より広い角の」
「何かな」
久志は順一のその話を聞いて考える顔で述べた。
「その辺りも日本とは違うな」
「そうですね、都市計画もです」
「ただ城の周りから拡げるんじゃなくてか」
「囲いとなる壁からはじまります」
「防衛、行政の為にか」
「そうです、そうした仕切りなので」
だからだというのだ。
「必要なのです」
「そういう考えか」
「城塞都市のある国々では、ただ」
「ただ?」
「古来は違ったりします」
「そういえばあれだよな」
ここでこう言ったのは智だった。
「ローマも最初は城壁なかったらしいな」
「それでケルト人に攻められました」
「そこから築いたんだったよな」
「守りの為に」
そのローマを脅かしたケルト人そして他の外敵達からだ。ローマ帝国も最初はそうした一都市国家だったのだ。
「そうしていました」
「そうだったよな」
「欧州も最初から城塞都市だったのではないです」
「次第にか」
「そうなっていきました」
今彼等がいるヨハネスブルグの様にというのだ。
「ローマ辺りから」
「それでこうしたか」
「このヨハネスブルグや他の街の様な」
「城塞都市になったんだな」
「そうなっていきました」
「成程な、よくわかかったぜ」
「ではその壁沿いのです」
北東のというのだ。
「小さな、赤い屋根の民家です」
「そこに俺達の仲間がいるか」
「はい」
順一は久志に答えた。
「錬金術師が」
「そうだよな、じゃあな」
「今からです」
「行きましょう」
こう話してだ、そのうえでだった。
三人はその壁沿いの赤い屋根の家の前まで来た、その家は小さめだが清潔な家だった。その家を見てだった。
久志は案内した順一にだ、あらためて言った。
「今からな」
「お家の中に入りですね」
「会おうな」
「それでは」
三人で扉をノックした、するとだ。
すぐに扉が開いた、智はその開いた扉を見て言った。
「魔術か?」
「いえ、錬金術です」
それだとだ、順一はその智に答えた。
「これもまた」
「錬金術かよ」
「音に応えて相手を識別してです」
そしてというのだ。
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