箱庭のリバティ
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たった一人でさえ脅威だというのに、同じレベルの敵がもう一人増えるなんて、なんだかもう絶望を通り越して少し笑えて来た。でも……私達は戦わなければならない。他の管理世界となのはを引き渡す条件を飲まない場合、それに打ち勝てなければ人類は未来を掴めない。
「なんだか一人で暗い顔してるね、悩みがあるならお兄さんが聞いてあげるよ?」
唐突に聞こえた声の方を向くと、そこにははやてが世話になってる人物の一人、ヴェロッサ・アコース査察官がいた。やけにキメ顔を見せる彼だが、とりあえず私の返答は…。
「間に合ってるので大丈夫ですよ、アコース査察官」
「おや、残念」
「それより、どうして聖王教会にいるはずの査察官がここに?」
「話を一切掘り出すことなく切り替えて来たね。ま、いいけど……ん〜ズバッと一言でいうなら、はやての代理って所さ。と言ってもシスター・シャッハに駆り出された形なんだけどね……」
「はやての代理?」
「ああ。理由はわからないけど昨日の夜にいきなり倒れて、今も布団から起き上がれない状態なんだ」
「倒れたぁ!? は、はやては大丈夫なんですか!?」
「大丈夫なんじゃないかな、知らないけど。まぁ、たまたま現場にシャマルさんがいたおかげで、すぐに家まで搬送されたって聞いたし、ほっとけば回復するだろう。ただ、通信に出てくれたシグナムさんのあの何とも言えない表情を浮かべた理由はよくわからなかったな」
何とも言えない……? 倒れた現場にシャマルがいて、シグナムが答えづらいという状況は…………あ、察し。
「はやて……ご愁傷様」
「???」
カエル料理も平気で食せるヴェロッサは、実はまだシャマルのケミカルダイナマイトウェポンを味わったことがない。故にはやての胃袋の状況がわからずにいるようだ。というか食べたら自分がヤバいことを知っていたのに、それでも作り手の想いに応えてちゃんと食べた辺り、はやての家族愛の凄まじさを感じた。正直、私もその信念には見習う部分があると思う。でもオンザベッド・イン・ホスピタルは勘弁。
「ところでこれの調査はどれだけ進展したのか、そろそろ報告してくれないのかな?」
「あ、ごめんなさい。では、この鉄塊についてですが―――」
それから今までわかった範囲で説明を行うと、彼は「冥府の炎王イクスヴェリアは古代ベルカ関連である以上、聖王教会総出で取り掛かるべき問題かもしれない」とこぼした。
「今でこそあんなんだけど、聖王教会はベルカの歴史を継承することが本来の業務と言ってもいいからね。当事者が今も生きているのなら、真の歴史を知れる貴重な証人でもあるわけだし、教会が動く理由には十分なのさ」
「確かに歴史が正しく語り継がれているかなんて、当事者でもない限りわかりようが
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