箱庭のリバティ
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して気を引き締めた直後、ふと目に入った破片に、私は何かのマークが書かれているのを見つけた。海水の中からその破片をすくいあげて眺めてみると、マークはソル属性とダーク属性の紋章を重ねたような形状に少し似ている気がした。
「何か見つけたんですか、フェイトさん?」
「あ、うん。忙しい所すまないけど、ちょっとこのマークを調べてくれないかな?」
「わかりました。……お、随分と状態が良いですね。これならすぐ解析できます、ちょっと待っててくださ〜い……。……うんうん……よし、解析結果出ました!」
「それで、どうなの?」
「分析によると、これはガレアの国旗のようですね。ベルカの中で最も古くから存在していた国の一つで、冥府の炎王イクスヴェリアが統べていた国家です。ただ……」
「? 何か言い辛いことでもあるの?」
「はい……。冥府の炎王イクスヴェリアは残虐の王とも言われていて、国絡みで侵略行為を是とし、侵略された国は騎士はおろか罪もない一般市民までも含めて人体実験に使われ、更に死者までも屍兵器として運用して戦場に駆り出し、ロストロギア並みの大量破壊兵器で都市丸ごとを焼き尽くすなど、悪辣卑劣卑怯外道を極めた王と言っても過言ではないほどの人物なんです」
「古代ベルカの悲惨さはシグナム達の話を聞いてある程度知ってたつもりだったけど、まさかそんな酷い王様がいたなんて……。もしディアーチェが今の話を聞いたらブチ切れそう」
「あ〜、そういえばアウターヘブン社の支社長もベルカに関係ある王様なんですよね。同じベルカ出身でも、性格や性根に雲泥の差がありますね〜」
そう言って苦笑しながら私が話しかけた技術部の人も解析に戻った。しかし私の胸中にはとある不安が芽生えていた。
もし……そんな残虐な王であるイクスヴェリアが脱出ポッドに乗っていたら、と。
古代ベルカの王と言えば、聖王オリヴィエや覇王クラウスと言った人外レベルの実力者ぞろいだ。十中八九イクスヴェリアも、彼らに匹敵する実力かレアスキルなどを持ってるに違いない。もしさっき聞いたことを平気で行う危険思想を持っている人物が、人知れず解き放たれていたら、この世界が阿鼻叫喚の地獄絵図に変わるのも時間の問題だろう。
「そういえばイクスヴェリアは死者も屍兵器にするとか言ってたけど、よく考えたらそれはアンデッドそのものだ……。……じゃあイクスヴェリアはもしかして―――!」
銀河意思ダークの僕たるイモータル……。これが事実だったら、聖王や覇王に並ぶ古代ベルカの王が、私達の新たな敵ということになる。覇王が単騎であのファーヴニル相手に一日持ち堪えたりしたことなども考えると、果たして私達の実力で太刀打ちできるのかという不安が出てくる。
あの停戦協定の会談で見たデュマの圧倒的実力……
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