第三話
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し げんしん)、俺の親父だ。
「本当よぉ。いいじゃない。」
それに遅れて聞こえてくるおっとりした声。お袋の、八重樫 遥(やえがし はるか)だ。
俺は半分諦めたように、靴を脱いで部屋に上がる。流石にこの狭い部屋に三人もいると余計に狭い。
まぁ、明日には広く感じるんだろうけどな。
「ところでよぉ、ヒロ。どうだ?友達になれそうなのは見つかったかい?」
親父は身体を乗り出して俺にそう聞いてきた。
ふむ、友達になれそうなのねぇ…………。
「まず、俺の隣の席の福島ってやつとは話をしたな。なかなか話しやすい相手だったよ。それに、出席番号一番の赤坂かな。号令でやらかしてた。あとは――――。」
俺はそこまで言った後、少し黙った。
沙紀のことを言おうか少し悩んだ。いや、言っても信じてもらえる訳ないんだけどさ。
「――だいたいそんなもんかな。」
「へぇ、なんとかなりそうじゃない。」
お袋はそう聞いてホッと息を吐いた。どうやらそこが気掛かりで仕方なかったらしい。
「明日からは俺たちは居ねぇからなぁ。気ぃ引き締めて行けよぉ?」
…………しかし、相変わらずこの親父は一々ヤーサンっぽいのだろうか。家に招いた友達に、ほぼ百パーセント、『お前の父ちゃんってカタギ?』って聞かれる。カタギです。
「まぁまぁ、不安になったら電話かけてくるのよ?」
お袋はお袋で、なんでこんなのを人生の伴侶に選んだのか不思議で仕方ない。絶対もっといい男がいたはずだ。
「さてと、これから俺達は晩飯買ってこようと考えてるんだが…………何が食いたい?」
親父はそう言いながら立ち上がった。
うーん…………ここは…………。
「牛丼。大盛で。」
牛丼なんて食べるのいつ以来だろ…………小学三年以来かな…………?
「…………すまんなぁ、俺らのせいじゃあないけどすまんなぁ…………。」
「んなこといいから、ほれ、頼むぜ?」
と、俺を残して親父とお袋は部屋を出た。
さてと、部屋の整理でもしますかね。
俺は引っ越しの荷物を整理しようと、机の上から片付けを始めようとした。
「あ…………?」
俺はそこで、二枚の紙切れを見つけた。どうやら、新幹線の指定席のチケットのようだ。
しかし、その日付。
四月八日、十四時三十二分。
一時間後だった。
俺は慌ててお袋に電話をかけた。
『あら、どうしたの、ヒロくん?』
「おい、お袋!新幹線の日にち、今日じゃねぇか!」
『え?ちょっとあなた!どういうこと!?』
『あ?あれ、今日って七日じゃねえっけか?』
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