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アタエルモノ
第三話
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庭事情は、はっきり言って他の家庭より貧乏、と言うか借金が酷かった。
 
親父の親父、つまり俺の祖父さんが、借金を俺達に隠したままポックリ逝っちまった訳だ。総額四百万。
 
そもそもあまり裕福ではなかった俺らは、一気に生活が激変した。さっき沙紀に言われた通り、煎餅なんかなかなか食べれなかった。
 
そんなわけで、当事中学生の俺は朝に新聞配達しながら少しでも足しになればと働いていた。あまり誉められたことじゃあなかったけどさ。
 
そんな奴らがどうして私立高校なんかに通えてるのかって話だが…………。
 
まぁ、あれだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
お袋が買った宝くじが大当りしちゃったわけだ。総額二億。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いろんな意味で生活が再び激変したね。
 
当然借金は完全に返済。ついでという感じでマンションと車を購入。ただまぁ、それ以上は後世のための遺産にしようとしたわけだ。
 
そこで、親父が俺にこんなことを言ってきた。
 
 
 
 
 
 
 
『いいか、ヒロ?これからお前は自分の行きたい高校に行っていい。公立でも国立でも私立でも。中学校でしんどい思いさせちまったからな。高校では、お前の能力の限りのことをしてこい。』
 
 
 
 
 
 
 
そう言われて、元々頭は悪くなかった俺は、国内有数の私立校、七宮学園を受験した。
 
結果、合格。俺は地元から出てきて、下宿することになった。
 
まぁ、なかなか数奇な運命だなと。支払ったものと言えば、中学の三年間位かな?
 
それを差し引いても有り余るような結果になったわけだが。
 
…………まぁ、まさかあんなのに絡まれることまでが数奇な運命だったんだろうな、と一人で納得した。
 
そんな事を考えていたら、いつの間にやらアパートに到着していた。
 
このアパート――『コーポ中沢』は、三階建てのアパートで、一フロア五部屋の、合わせて十五部屋。学園が近いこともあってか、学生に多く使われている。
 
元々一人暮らし用に作られたのだろう。六畳一部屋、トイレフロ付き、家賃六万二千円。これが高いのか低いのかは個人の判断に任せよう。
 
俺は外付きの階段を昇って、二階の奥から二番目の部屋、『204号室』に入る。
 
「ただいまー、親父よぉ。いい加減鍵ぐらいかけろって。徳島と違って都会なんだからさぁ。」

やはり、防犯とかに疎い両親が留守番していたから、鍵はしまってなかった。
 
「おう、おかえりんさい。良いじゃねえかよ!どうせ俺が盗られて困るようなもんなんてねぇんだしよぉ。」
 
聞きなれた威勢のいい声が聞こえてきた。この声の主は八重樫 源信(やえが
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