暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第4章:日常と非日常
第123話「嫌い」
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っているかと思って」

「本音は?」

「司の怒りに感化されたのかもね。この状況で斬りかかるなんて、少しは頭を冷やしなさい。そう思ったから、この術を使ったの」

 やった事は、“殺される自分”の幻覚を見る。そんな単純な幻術。
 元々、椿は神の分霊とは言え、神夜を盲信している者を無条件に許せる程懐が広い訳でもない。だからフェイトに対し幻術を使ったのだ。
 …そして、その幻術を使った意図は、もう一つあった。

「“掴めた”わ」

「え、かやちゃんそれ本当?」

「ええ。アリシアと質も似ていたから、さっきの接触でね」

 椿と葵の間で交わされる会話。
 その意味は司や奏…ましてや優輝にさえ掴めなかった。

「貴様…テスタロッサ達に何を…!」

「何もしていないわ。私は“視た”だけ。その魂を」

「何……?」

 フェイトとよく競い合うシグナムが椿に問うが、その応答は意味が分からなかった。
 そのまま優輝達と共に去っていく椿を、残った者は見つめるしかなかった。





「…最近術に重点を置いて鍛えていた事と、魂…椿、もしかして…」

「ええ。分霊とは言え、私だって神だもの。魂に干渉する術くらい、使えるわ」

 部屋を出た優輝は、何かに気づいたように椿に尋ねる。

「式姫で弓術士としていたのと、優輝と司に頼っていたから盲点だったわ。あの魅了は魂や心、精神に干渉する代物。防ぐ事ができる護符を作った所で気づけばよかったわ」

「かやちゃんは魂を“視る”事ができる。だから、魅了が魂に干渉しているのなら、こっちも干渉するための術式を作って魅了を解けばいいって訳」

「なるほど。それでさっき…」

 二人の説明に納得がいった優輝。

「えっと、つまり?」

「魂に干渉する術式を作って、それで魅了を解く事も可能って訳だ」

「ただし、その術式はそう簡単に作れないけどね」

 “一から作るから、軽く見積もって半年近くは掛かる”と言う椿。
 さすがに優輝も魂に干渉する霊術の術式は知らないため、手伝う事もできなかった。

「根深く浸透している魅了を解けるだけ、マシね」

「それもそうだな。僕も何とか理解して手伝うぞ」

「助かるわ」

 魅了をどうにかする手段が増えた。
 それは優輝達にとって嬉しい事だった。
 新たな収穫があったと、優輝達は満足しながらそのまま家へと帰って行った。














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