67部分:第六話 馬超、曹操の命を狙わんとするのことその十
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第六話 馬超、曹操の命を狙わんとするのことその十
「それがわかったか」
「わかった、そうだったんだな」
「ではこれでいいな」
二人は同時に構えを解いた。そうしてだった。
馬超はその場に崩れ落ちた。夏侯惇はそれを見ようとしなかった。
その彼女から背を向けてだ。関羽に対して言ったのである。
「関羽殿」
「う、うむ」
「後は貴殿に任せた」
こう告げたのである。
「それではな」
「ああ、わかった」
こうして二人だけにされた。馬超はそのまま泣き崩れた。関羽はその彼女の肩をそっと抱いて泣くに任せたのだった。これで全てが終わった。
翌日馬超はまず曹操の元に出向いた。曹操は彼女の姿を見るとすぐに周囲の者を下がらせた。だが荀ケがそれを止めようとする。
「生かしておくだけでも危険だというのにそれは」
「いや、桂花これでいい」
「こうするべきなのだ」
夏侯惇と夏侯淵がその彼女に言った。
「ここはだ。華琳様の仰る通りにするのだ」
「いいな」
「そんな馬鹿なこと通るものですか」
しかし筍或も言う。
「華琳様を殺そうとした者と。しかもそれは昨日の話なのよ」
「いえ、ここはね」
「それがいいわ」
だが曹仁も曹洪も言ってきた。
「是非ね」
「二人だけで」
「貴女達まで言うの?そんなことは絶対に」
筍或も必死の顔である。彼女も曹操を心配しているのだ。
だが曹操にとっては血縁者であり無二の腹心である彼女達に言われてはだ。荀ケにしても頷くしかなかった。しかも四対一であった。
「・・・・・・わかったわ。それなら」
「うむ、我等は去ろう」
「それではな」
「馬超、いいわね」
荀ケは去り際にきっとした顔で馬超を見て言った。
「華琳様に何かしたらその時は」
「安心しな、もうそれはないさ」
馬超もこう彼女に返した。
「何があってもな」
「その時は私が何があっても」
「だからわかったら行くぞ」
「いいな」
夏侯惇と夏侯淵は何とか荀ケを連れて行った。曹仁と曹洪も去りだ。馬超は曹操と二人になってそのうえでまずは土下座をした。
「済まない!」
「間違いは誰にもあるものよ」
曹操はその馬超にこう告げた。何時の間にか自分の席から相手の前に来ていた。
「それだけよ」
「それだけ?」
「そして」
曹操は言葉を変えてきた。
「立ちなさい。貴女程の武人がそうした姿勢になるのはよくないわ」
「えっ、じゃあ」
「どうやら貴女は私の配下にはならなさそうだけれど」
顔をあげた馬超にさらに言う。微笑んでの言葉だった。
「それでもね。そうした姿勢はしてはいけないわ」
「曹操・・・・・・」
「だから立ちなさい。そして今度は他の、貴女に相応しい場所で会いましょう」
「あ、ああ」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ