20. ……
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でいた提督の顔は、ぐしゃぐしゃに汚れていた。見開いた両目で私を見る。いつもの提督からは想像もつかないほど、その目はとても弱々しく、そして怯えていた。
「わりぃ提督……もう、ドア壊さねーから……」
「……」
「壊れたら、あたいも手伝うから……だからもう、やめてくれ……ッ」
私は必死に、提督を諭すように、声をかける。提督を落ち着かせるように……
「………ゃないよ……」
ポツリとつぶやく提督の言葉が、よく聞き取れなかった。
「提督?」
「……違うんだ……違うんだよッ……!!」
「……」
「違うんだよ涼風!!! 違うんだ……違うんだッ……!!!」
「落ち着けって! 提督!!!」
「ぁぁぁぁああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
提督の膝がガクリと落ちた。そのまま両膝を尽き、涙と鼻でぐしゃぐしゃになってしまった顔を、ボロボロに傷ついた両手で覆い、大きな声を上げ、子供のように泣き出した。
「提督……提督……ッ!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
私はどうしていいのか分からず、大声で泣き叫ぶ提督の頭を必死に抱きしめ、提督を落ち着かせようとした。何度も何度も提督を呼び、ギュッと抱きしめ、提督を落ち着かせようとした。
だがそれでも提督は止まらず、私の胸の中で、涙をボロボロと流し、鼻を垂らし、唾を吐きながら、それでも大声で、泣いて、泣いて、泣き続けた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ぁぁぁあああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」?
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