20. ……
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必死に持ち上げ蝶番を合わせようとするけれど……
「……なんでだ」
「……提督?」
「なんでだよッ……」
なぜか今回は、うまく蝶番が合わなかった。提督は必死に蝶番を合わせるべく、力いっぱいドアを持ち上げ、必死にガチャガチャと蝶番を合わせようとするけれど、そんな提督の頑張りをあざ笑うように、蝶番ははまらない。
「……ちくしょっ……なんでだよ」
「手伝おうか?」
「なんで……なんでなおらないんだよッ……なんでだよッ」
提督の声に、次第に苛立ちが感じられるようになってきた。『なんでだ』と何度も口ずさみ、ガチャガチャと乱暴に蝶番を合わせようと頑張るけれど、蝶番は一向にはまらない。
必死に蝶番を合わせる提督の横顔を見た。提督は、泣いていた。
「ちくしょッ……なんでだよッ……なんでなんだよッ!!!」
「提督!?」
私の見ている目の前で、提督は持ち上げていたドアを壁にたたきつけた。バカンという大きな音が廊下に鳴り響き、私はびっくりして提督を見た。
「なんでだよッ!!! なんでなおらないんだよ!!!」
「提督! 落ち着けって!! 提督!!!」
「ずっと頑張ったんだぞ!! 必死に頑張ったんだぞ!! なのになんでだ!!! なんでなおらないんだよ!!!」
壁に立てかけられたドアを殴り、蹴り、口から唾をたくさん飛ばし、涙をボロボロと流して、提督は必死に叫んでいた。
提督の叫び声はとても大きくて、廊下全体に轟いていた。何事かと曲がり角から顔を覗かせる子もいた。でも提督はそれをまったく気にせず、何度も、何度も、ガツガツとドアを拳で殴っていた。次第に提督の拳に血が滲み始め、皮膚が破れたことを私に伝えたが、それでも提督は、ドアを殴る拳を止めなかった。
「提督!!! やめろ!!! 手が壊れちまう!!!」
「構うか!!! 俺の手なんか壊れたっていい!!! これでなおるんならいくらでもぶっ壊してやる!!! ぶっ壊れりゃいいんだこんな役立たずの手なんて!!!」
「ダメだよ提督!!! 痛いだろ!? やめろって!!!」
「なおせよ!!! なおれよ!!! なんでだよ!!! がんばったんだぞ!!! ずっとがんばってただろうが!!!」
「もうやめろ!!! 提督!!! やめろ!!!」
私の声をきかず、提督は右拳を大きく振り上げ、そしてドアに向かって振りぬいた。これ以上ドアを殴り続ければ、提督の手はこわれてしまう……私は提督の拳がドアに当たる寸前、提督の右拳を両手で抱きとめ、そしてギュッと抱きしめ、提督の右腕を制止した。
「……!?」
「提督……ッ」
「涼風……」
「もうやめろ……手が……ダメになっちまう……ッ」
提督が私を見た。目が真っ赤に腫れ、鼻水も出て、口から唾もいっぱい出して叫ん
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