暁 〜小説投稿サイト〜
色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第28話 「友達」
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アステリへと視線を移し、その右腕を掴んで軽く引っ張ってみせた。
 突然の事に今まで俯かせていた顔を上げると、アステリは丸くなった目で天馬の顔を見る。

「えっ、天馬……?」
「アステリも、いつまで暗い顔してるの?」
「!」
「サッカー部の皆に協力してもらうんでしょ? それなのに、肝心のアステリがいつまでも元気無いままでどうするんだよ」
「天馬……」

 天馬の言葉にアステリはしばらく顔を俯かせていたと思えば何かを決意したのか、真っすぐとした瞳で目の前を見詰め、言葉を発した。

「そう、だよね……ごめん天馬。また、面倒かけちゃって……」
「いいんだよ! 俺達は友達なんだから、このくらい」
「え」

 天馬の発した言葉にアステリは先程より目を大きく見開くと、とても驚いた様子で目の前の少年を凝視する。

「……ん? どうしたの?」
「いや…………友達……に、なって良いの……? ボク……」

 たどたどしくそう言葉を返すアステリに天馬も同様に目を丸くすると、すぐさま笑顔を浮かべ「何を今更」と掴んでいた彼の右腕を両手で優しく握り直した。

「当たり前じゃん! 俺も、フェイもワンダバも、もうアステリの友達だよ!」
「……とも……だち……」
「だから、ボク達に迷惑かけてるとか……そんなの気にしなくて良いんだよ」

 そう、不安そうな様子のアステリを元気づけるように、天馬とフェイは笑いかける。
 アステリはそんな二人の表情を交互に見詰めると、一呼吸置き「ありがとう」と笑い返した。

「よーし! 全員の気持ちもまとまった所で、そろそろサッカー部の部室に行こうじゃないか!」
「うん!」

 ワンダバの声に三人は頷くと、サッカー部のメンバーが待つ部室へと走り出した。


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