第七幕:翠碧色の虹
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「これも良い写真だよ!」
七夏「あっ、帽子が飛んだ時の!?」
この写真は、俺が思う所、翠碧色の瞳にはなっていなかったハズだ・・・その理由は、七夏ちゃんがカメラ目線ではないからだ。七夏ちゃんの顔を拡大して見ると、やはり瞳は翠碧色で映っている。それを七夏ちゃんにも見せ、
時崎「これも良い表情だよ!」
七夏「これ、良い表情なのですか!?」
七夏ちゃんがまた改めて訊いて来る。俺は、その理由がなんとなく分かった気がする。
時崎「この写真は、自然な七夏ちゃんの姿を捉えていると思うよ」
七夏「自然な私・・・」
俺は写真機を七夏ちゃんに渡す。七夏ちゃんは、しばらくその写真を眺めている・・・何か思う所があるのだろう・・・。俺が良い写真と言った事に対して、七夏ちゃんが改めて訊いてきた理由がここにある。
七夏「柚樹さん・・・ありがと・・・です♪」
時崎「え?」
七夏「好きです!」
時崎「!!!!!」
七夏「こ、この写真・・・」
時崎「なっ、しゃっ、写真・・・か・・・」
七夏「??? どうしたの?・・・ですか?」
時崎「いや、なんでもない」
あーびっくりした・・・どうせなら一気に言ってほしかったよ・・・倒置法で会話に間が開く事の恐ろしさを実感する。さて、ここまで放ったらかしにしている理由・・・それは、恐らく・・・
七夏「この写真、自然な私・・・伝わってきます」
七夏ちゃんの瞳の色に関係なく、七夏ちゃん自身を良い写真だと思った事・・・それが七夏ちゃんにも伝わってくれていると、信じている。恐らく、他の人は撮影した七夏ちゃんの写真の瞳の色が違うとか言って、七夏ちゃん自身の事よりも、疑問を投げかける事の方が多かったのではないだろうか。そんな疑問・・・七夏ちゃんが喜ぶはずがない。
七夏「私、分からない事があります」
時崎「え? 分からない事?」
七夏「柚樹さん、この写真の私・・・」
そう言って、七夏ちゃんが自分の映った写真の液晶画面を俺に見せた時、
時崎「え? どの写真?」
七夏「え? えっと、この写真・・・あれ?」
一定時間、操作されなかった為か、画面が消えてしまったようだ。なんというタイミングだ。
時崎「くくっ・・・」
七夏「ど、どうしたのですか? ・・・柚樹さん?」
時崎「さっきから思ったんだけど、まさか狙って・・・ないよね?」
七夏「? 何を・・・ですか?」
時崎「いや、なんでもない・・・ちょっと確認したかっただけ」
七夏「???」
俺は、七夏ちゃんから写真機を受け取り、先程の写真を液晶画面に表示させる。
時崎「この写真でいいのかな?」
七夏ちゃんが写真機を覗き込む。
七夏「はい☆」
時崎「この写真がどうかしたの?」
七夏「この時の私・・
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