第七幕:翠碧色の虹
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☆ お願いいたします♪」
時崎「七夏ちゃんは、この場所、よく来るの?」
七夏「はい♪ ここを通る海風、心地よくて好きです♪」
まだ、日差しは高い事から、普通に考えれば「初夏の暑い時間」のはずだが、ここを通る海風の影響か、暑いという感覚は殆ど無い。
時崎「確かに、風が涼しくて心地良い」
七夏「くすっ☆」
俺は、海風に長い髪を乗せて涼しそうな七夏ちゃんを、しばらく眺めてしまった・・・。
時崎「七夏ちゃん!!」
七夏「???」
七夏ちゃんがこちらに視線を送ってくる。俺は七夏ちゃんを確実に捕らえる・・・綺麗な翠碧色の瞳と、ファインダー越しに目が合い「ドキッ!」としつつ、シャッターを切る。
七夏「ひゃっ!!」
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急に風向きが変わり、七夏ちゃんの長い髪とワンピースが、大きく舞う。この瞬間も俺は、すかさず切り取る。
時崎「おっ・・・と!!」
俺は七夏ちゃんから離れた帽子を素早く受け止める・・・風向きが変わり、俺の方に上手く飛んできてくれたのは運が良かった。
七夏「あっ、帽子! ・・・ありがとうです☆」
時崎「こっちに飛んで来てくれて良かったよ」
七夏「はい☆」
帽子に次いで、こちらに寄ってきた七夏ちゃんとの距離が近い・・・綺麗な瞳に圧倒されそうになりつつも、負けじと写真機を七夏ちゃんとの間に挟み、綺麗な瞳を捉える。写真機を目の前にした七夏ちゃんは、視線を逸らしてしまう・・・。
時崎「あれ?」
七夏「・・・・・」
今、俺の目に映っている七夏ちゃんの瞳は、翠碧色ではない・・・しかし、写真機の液晶モニターに映っている七夏ちゃんの瞳は、翠碧色のままだ・・・これは、どういう事だ!?
ファインダーを通して七夏ちゃんを見ると、瞳の色は裸眼で見たときと同じように変化して見える。
・・・大切な事を思い出した。最初に七夏ちゃんの写真を撮らせてもらった時、七夏ちゃんの瞳の色が、虹色/七色ではなかった事・・・撮影した全ての七夏ちゃんの写真の瞳が翠碧色になっていた事。俺は七夏ちゃんの本当の瞳の色を確かめたくて、もう一度会いたいと思った。しかし、七夏ちゃんと再会出来て、一緒に過ごす時間の中で、瞳の色の事よりも七夏ちゃんの心の方が印象深くなってしまっていた。今、写真機の液晶画面に映っている七夏ちゃんの瞳の色こそが、撮影した時に記録される色だという事・・・つまり、本当の七夏ちゃんの瞳の色を撮影し、記録する事は出来ないという事になるのか・・・そんな事を考えていると、七夏ちゃんは写真機と俺から少し距離をとった。
時崎「七夏ちゃん」
七夏「・・・・・」
七夏ちゃんは無言のままだ。先程まで涼しいと思っていた海風が、少し肌寒く感じる。恐らく、七夏ちゃんは過去にもこの様な事があり、写
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