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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第89話 灯り
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やはりか......

予定通りマダラの身体を奪った黒ゼツを砂分身体のサソリの場所まで誘き寄せた。
純粋なチャクラだけの存在となったサソリは黒天の空にまるで細かい雷のように走行する膨大な光輝く見覚えのある線を見上げる。

マダラの力で厄介なのは並外れた瞳術。
それを一時的にも麻痺させるには......
あの時ゼツ達にヤラレタ方法だな
今度はこちらから使わせて貰うぞ

サソリは両手を合わせると一拍置いて高速で印を結ぶ。
一気にしなければ......

******

荒涼とした砂漠の原風景の中を警策はフード付き羽織りを着用しながら彷徨っていた。
大切な友人を喪失した事による哀しみを封じ込めて学園都市に歯向かったが圧倒的な力の前に自分は無残に敗れた。
実験の為にはデータ上でも身体上でも簡単に死を享受させる狂った連中を相手にしている。

今まで生きてこれたのは科学者にオベンチャラお世辞を言ったり、実験に協力して理想の女児として振舞ってきたからだろう。
逆らったり逆上させたりしてしまえば思いつくままの被験体となり抹消されてしまう。

失敗しちゃったよね......
威勢の良い事を言って結局死んじゃうのよね
ばっかみたい
私もアンタも......

警策の目の前には焚き火をしているララの姿があった。
朗らかで優しく笑う彼に一目逢えただけでもなんとなく生き方は間違えていなかったと錯覚する。

「久しぶりね。相変わらずのアホ面だこと」
「い、いきなり!?」
「ふふふ」
やはりこの雰囲気は懐かしい。
近くにいるとホワホワ暖かくなるし、弄りがいがあるキャラだ。
「さてと、さっさと連れていきなさい。天国だろうが地獄だろうが何処でも付いていくわよ」

座ってキョトンとしているララに手を差し出してあの世へのエスコートを要求するが、腕の物陰から蒼色に光るチャクラ糸が伸びており身体の節々に丁寧に張り付けられているのに気がつく。

「っ!?」
「残念だけど、まだ来れないみたいだね」
慌て蜘蛛の巣のような糸から逃れようと手で払う動作をするがチャクラ糸は蜘蛛の巣よりも少ない質感でどんなに払ってもまとわりついてくる。
「な、何よこれ?」
「やはりあの人を呼んで正解だった。いよいよ反撃するみたいですよ」

地平線の先から夕陽のような穏やかな光が映り出す。
伸びたチャクラ糸は一点透視図法の線のように振る舞い、物理的にも心理的に引き込まれていく。
「ララ?」
「明かりを灯して......君達が積み上げてきたものを想いを奴らにぶつけて」
「あ、明かり?」

糸が巻き取られるように身体全体が引っ張られていく。
警策は抵抗する事も無く、首だけを動かして虚ろい行くララの影を懸命に追った。

大丈夫

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