暁 〜小説投稿サイト〜
俺の涼風 ぼくと涼風
19. 絶対に負けない
[7/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
々しい叫び声を上げ、そしてその声を聞いたノムラは、ニチャリと禍々しい微笑みを浮かべる。得意げに私の方を向き、鼻をフンと鳴らすノムラ。ゆきおが握っていた私の高角砲は、ノムラがゆきおの右肘を蹴り上げた反動で、海の中に飛び、ボチャンと沈んでいった。

「なぁ、涼風? お前のマネなんかして、狡いガキだなぁこいつは」

 手に持った魚雷発射管をゆきおの頭の上にわざと落とし、そんなゆきおをあざ笑うノムラ。ガツンという音と共に、ゆきおの顔から飛んだゆきおの血の飛沫が、私の顔に付着した。

「マネなんかじゃない……ぼくは、艦娘……だ……ゲフッ」

 渾身の力で自分の頭に落とされた魚雷発射管をどかしつつ、ゆきおは再び身体を起こす。腕がプルプルと震え、もはや力が入らない状態なのが、私からも見て取れる。

「はあ?」

 腰を落としてしゃがみ、ノムラが左手でゆきおの髪を掴んだ。綺麗なおかっぱの茶髪だったゆきおの髪は今、ゆきお自身の血にまみれ、ぐちゃぐちゃになってしまっている。

「なら言ってみろ。お前の艦種は? 何型だ?」
「……改……白露、ゲフッ……型ッ……!!」
「改白露型かぁ……フヒッ……んじゃお前、何番艦だ?」
「……」
「言えるわけないよなぁ!!! 改どころか白露型は、もう全員が艦娘になってる!! 新しい改白露型の駆逐艦なんて、出来るはずないもんなぁ!!!」
「……4番……艦ッ」
「……なんだと?」

 ノムラの顔つきが変わり、ゆきおをギンに睨みつけていた。ゆきおの髪をつかむ左手に力がこもり、プルプルと怒りを押し殺すように震えていた。

 ゆきおが咳き込み、口から血を吐いた。でも、自分の髪を掴んで、自分を蔑むノムラをギッと睨み、目をそらさず、雄々しい声で、咳き込みながら、ハッキリと答えた。

「ぼくは……白露型、10番艦……で」
「ふざけるなッ!!! それは……」

―― 僕と涼風は、ケフッ……二人で一人だから

「改白露型、ゲホッ……4番艦ッ……涼風だ……ッ」
「何が涼風だぁあああああッ!!?」

 発狂したような叫び声を上げ、ノムラがゆきおの顔をデッキに思い切りたたきつけた。いつの間にかできていた血だまりの中に、ゆきおは顔を突っ込まれ、ガツンという音とともにゆきおの血が私の顔に再びかかった。

「ゆきおを離せぇええ!!!」

 私もなんとか立ち上がり、ノムラに体当たりをするけれど、安定しない船の上では踏ん張りがきかない。私の体当たりは勢いがなく、逆にノムラに払われてしまう。

「あうッ!?」

 弾き飛ばされた私は元いた場所まで転げてしまい、ゆきおを助ける事が出来なかった。その間にもゆきおは、血だまりの中にグリグリと顔を押し付けられ、全身で苦しそうにもがいていた。咳き込みが激しく、そ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ