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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜 外伝
蒼雷の恋慕 05
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前者の方が驚くだろうと思う者も居るかもしれんが、腕に抱き着く程度ならまだしも少しでも顔を前に出せば、せ……接吻してしまうような距離まで一瞬で来られるのは誰だって驚くであろう。わ、我はまだ誰にも唇を重ねることを許していないのだからな。

「ねぇ王さま、ボクね王さまにそのことを聞きたくて今日会いに行こうとしてたんだ。だからボクに……!」
「待て、待たぬか! 話はあとでゆっくりと聞いてやる。だからとりあえず我から離れろ!」
「ボクは今すぐ聞きたいの!」
「こっぱずかしい話になりそうな話題をこんな場所で話せるわけなかろうが! いいから離れろ、離れぬか……えぇい、離れろと言っておるだろうに。大体すでに辺りも暗くなっておるのだから大人しくせんか!」

 レヴィを突き飛ばすようにして半ば強引に引き離す。古くからの友人にこのような真似はしたくはないが、今回ばかりは仕方がない。間違っていることを正してやるのも友としての役目なのだから。それ以上に……

「ふぅ……危なかった。もう少しで我の初めてがレヴィになるところであった」

 レヴィに抱き着かれたりするのは嫌ではない(人前でされるのは恥ずかしいので別である)が、いくら竹馬の友であるレヴィでも我が唇を奪うことは許さん。
 王である我の寵愛は安くはないし、そもそもは、初めての相手は我が許した相手……我が望む相手でなければならぬからな。
 しかし……あやつとの仲は一向に進展してはおらんのが現実。
 親戚との一件以前はよく店に顔を出しておったが、最近はあまり顔を出しておらんな。あやつも今では立場があり、任させる仕事も今後必要なものばかりだ。元気でやっておるならばそれだけで十分……十分ではあるのだが、少しくらいは休憩の合間にでも顔を見せてくれても良いと思うのだが……

「い、いや何を女々しいことを言っておるのだ我は。仕事量などを考えれば我よりも遥かに忙しい身なのだぞ。にも関わらず自分の都合の良いことを考えるとは……我はいつから自分勝手な女子になってしまったのだ!」
「あの〜王さま〜」
「何だ! 我は今大切なことを……!」
「ボクも悪かったとは思うけど、いくら何でも強く突き飛ばし過ぎじゃないかな。おかげで頭ぶつけたし……まあそれはいいとして、王さまどんどん声が大きくなってるからボリューム下げた方がいいんじゃないかな?」

 …………。
 ………………そういうときにこそ先ほどの勢いで来ぬか!
 いやまあ我にも責任があるわけだが。しかし、事の発端はレヴィにあるわけであって……だがレヴィも自分の非は認めておるようだし、普段くらいにはテンションも戻っておるようだ。ここは我も落ち着かねばならんだろう。

「レヴィよ……貴様は何というか相変わらずマイペースよな」
「まあボクはボクだからね!」


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