蒼雷の恋慕 05
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バイト……バイト……元々の性格もあるのだろうが、責任者という立場のせいか余計に信用できるか否かを気にしてしまう。
そういうことを考えると知り合いを雇った方が手っ取り早いのだが、我の知り合いは大体社会人としてすでに自分の仕事を持っておるわけで……。
ヴィヴィオ達がたまに手伝ってくれておるがあやつらは友人の娘とその友人。職業体験といった理由があるのならば手伝ってもらうのも快諾するが……学生時代というものは大切で後戻りできぬ時間だ。話すための場などで我の店を利用してくれているのだから普段は客として扱いたい。
「……仕方がない。ここはひとつ、バイト募集の張り紙でもしてみるか」
「え……人手が足りてないの?」
「いや現状は問題ない。だが今後のことを考えるとあと数人は……」
ちょっと待て。我はいったい誰に対して話しておるのだ。我の記憶ではずっとひとりで帰宅していたと思うのだが……
「そうなんだ。じゃあボクが手伝ってあげよっか?」
「――っ!? レレレヴィ、貴様いつからそこに居ったのだ!?」
「割と今だよ。今日は王さまの家に泊まろっかなと思ってちょうど向かってたから」
ならば普通に話しかけてこぬか。自然と独り言が会話になるように入って来られると我の心臓に悪いであろう。唐突に背後から大声で話しかけられた方が驚きそうな気がしないでもないが……。
「王さまどうかした?」
「いや何でもない……が、これだけは言っておく。今後泊まりに来るなら事前に確認を取るようにするのだぞ」
我が実家に帰省する日であったならば無駄足になるのだから。世間的にはレヴィも技術者として知られておるだろうが、シュテルと同様に優れた魔導師でもある。故によほどのことがない限りは危険はないとは思うが、それでも夜道を女性ひとりで歩くのは危険だ。
まあ……デバイスを持っておらず、日頃魔法の鍛錬もしていない我の方が襲われたりすれば危険なのだが。今でも多少は使えるであろうが……出来れば使う日が来ないことを祈りたいものだ。必要な際は力は振るうべきものだが、誰かを傷つけることを我は好きではないのだから。
「あはは、ごめんごめん。いきなり行って王さまを驚かそうと思って」
「……はぁ。一部を除いては大人になったと思っておったのだがな」
根っこの部分は早々変わるものではないということか。……まあシュテルや小鴉も人前ではともかく、知り合いだけの空間では昔と変わらぬしレヴィだけにとやかくは言えぬのだが。
「一部? ねぇねぇ王さま、その一部って好きの違いとかに関すること!」
近い近い近い近い近い……!?
一部が何を指していることのか気が付いたことにも驚きではあるが、それ以上に真剣な顔つきで迫られて来る方が心臓に悪い。
レヴィのことだから
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