お菓子な双子の物語~ヘンゼルside(2)
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でも、君を食べてしまったら、僕のグレーテルが居なくなってしまう……だから僕はこの歪んだ衝動を抑え込み
「僕もだよ、グレーテル」
と言って彼女の頭を撫でてあげる。頭を撫でてると嬉しそうに笑う、グレーテルの顔が可愛くてたまらなく好きだ。
「グレーテル」「ヘンゼル兄さま」
『聞いてなの! お菓子ってなんなの!!』
ドンッと誰かに突き飛ばされたような衝撃がした
フワッと僕の体は宙に放り出され、窓から塔の外へ
どうしてこうも 死の瞬間というのは ゆっくり スローモーションに感じるんだろう
車にはねられる時もそうだけど 今の僕のように高い所から落ちる時もそうだ
引力には逆らえない。物凄いスピードで落ちているはずなのに 体感速度はそんなにも速くない。
ゆっくりと落ちていく おかけでこうして考え事が出来るわけだ
グチャァァァァリッ
……と思っていたけどそんなに時間はなかったみたいだ。体の血が外へ流れ出ているのがわかる。
「嗚呼…気持ちが悪い」
グレーテルは大丈夫かな。僕が居なくてもちゃんとやっていける?
「嗚呼…きっと無理だ」
僕がいないと。僕達は二人で一つなのだから
「ッ」
起き上がろうとしても体が言うことを聞かない。どうやら落下した衝撃で脊髄を損傷してしまったみたいだ。
『オニクだ〜オニク〜♪』
『お空から落ちて来たオニク♪』
『美味しそうなオニク〜♪』
歌い踊る森の動物達。このまま彼らに食べられる…?
「…だ…め…だ」
そんな事は絶対に駄目。僕達はずっと一緒。だから
食べられるのならグレーテルに"食べられたい”
―薄れゆく意識の中 僕は強く そう願った
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