第四十一話 神戸でもその一
[8]前話 [2]次話
第四十一話 神戸でも
阿波野君は私ににこにことしたまま言ってきました。
「折角の再会ですから」
「何でかわからないわよ」
「またまたそんなこと言って」
「そんなことじゃなくてどうしているのよ」
「ですから親戚のお家に来てるんです」
「全く、神戸に親戚って」
「奇遇ですね」
阿波野君だけがにこにことしています、私にとっては本当に迷惑なお話です。ですが阿波野君はそんな私に言ってきます。
「こんなところで会うなんて」
「どういう訳かね」
「それでなんですけれど」
「それでって?」
「この辺り案内して下さい」
「一人で歩いてる位だから知ってるでしょ」
私はこう阿波野君に言いました。
「そうでしょ」
「いえ、あまり知らないんですよ」
「それで何でこんな場所まで歩いてるのよ」
それも一人で、です。
「道に迷うわよ」
「ある程度は知ってますけれど」
「じゃあそのある程度で我慢しなさい」
お口をへの字にさせて答えました。
「それでね」
「いやいや、もう隅から隅まで知りたいんです」
「知りたいって?」
「例えば先輩の通っておられた学校にある動物園とか」
「ああ、八条動物園ね」
「水族館とか博物館とか植物園とか」
あと美術館に鉄道博物館もあります、八条学園は物凄く広い敷地の中にそうした施設が色々とあります。
「そうした場所に案内して下さい」
「何処も有名だから行ったことない?」
「実は一度ずつ」
「じゃあいいじゃない」
「それじゃあ他の場所を」
「他の場所?」
「須磨の水族館とか」
今度はこちらを言ってきました。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ