第一章 ハジマリ
第26話 VSザ・デッド――勝負の結末
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テンマーズのキックオフで試合は再開した。
先程シュートを決めたスキアを警戒してか、テンマーズはフェイからアステリ、スマイル、ストロウとパスを繋げていく。
――うかつに攻め込めば先程の様にボールを奪われ、カウンターを決められる。
もう一点の失点も許されない状況で、フェイはパスを回しながら得点の機会を伺っていた。
キャプテンと言う立場や非現実的な世界での戦いがプレッシャーとなりフェイを焦らせる。
――あと一点……ッ
「おやおや、いけませんよ。フェイさん」
「ッ!?」
ストロウからパスを受け取り、ドリブルで攻め込んでいた最中。
突如として目の前に黒い影が現れ、フェイは瞳を瞬かせた。
ハッと視線を上げると、いつの間に走って来ていたのか、スキアはフェイに覆い被さるかの様に彼の行く手を阻止していた。
「そんなに難しい顔でサッカーをしては……」
「っ……!」
フェイは何とかスキアのマークから外れようとするが、双方を二人のDFに囲まれてしまい思う様に身動きが取れない。
「くっ……」
「おや、辛そうなお顔をしますね。サッカーは楽しい物なのでしょう? だったらもっと笑顔でプレイしないと……」
動き回るフェイを三角形状に包囲しながら、スキアは茶化すように言葉を発する。
ザ・デッドの包囲網は固く、破る事が出来ない。だからと言ってうかつにパスを繰り出せば、ボールを奪われてしまうだろう。
『あぁと! フェイ選手!! ザ・デッドメンバーの繰り出した強力なマークから中々抜け出す事が出来ません!!』
「デュプリと言いましたよね……」
「!」
「アナタの能力……」
目の前で腕を組みながら、スキアは尋ねた。
なおも睨み続けるフェイを嘲笑うかの様に目を細め、言葉を続ける。
「昨夜のカオス様との試合……そして今、私達がしているゲームでも、チームのメンバーはほとんどアナタの力で補っている。体力的に中々お辛いでしょう……」
「何が言いたい!」
スキアのまどろっこしい遠回しの言い方にフェイは叫んだ。
「……ハッキリ申しますと……………邪魔なんです。その力……」
「!?」
瞬間、一流れの風が黒い獣の形を成してフェイの横を通り抜けていく。
すれ違い様、先程アステリのシュートを止めた時のあの、歪んだ笑顔がフェイの目に映った。
『あぁ! フェイ選手! ザ・デッドのマークから逃れられず!! スキア選手にボールを奪われてしまった!!』
「ッ! スマイル、ストロウ!」
ボールを奪い、ゴールに向け走るスキアの行く手を阻む様、フェイは自らの分身に指示を出す。
そんな様子を見てスキアは地面を強く蹴ると、突進してくる二人のデュプリの頭上を舞いかわした。
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