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俺の涼風 ぼくと涼風
17. 戻る日
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むいたところで、榛名姉ちゃんはマフィンを口に運び、『はむっ』とかわいく食べていた。

「……うん。やっぱり美味しいですね。さすがは、金剛お姉様です」
「うん。金剛さん、お料理上手だったもんね」
「もちろん、今のこの鎮守府の金剛お姉様も、負けず劣らず、素敵な人ですけどね」

 そう言って得意げに胸を張り、自分の姉の自慢をしだす榛名姉ちゃんの横顔は、本当にキレイだった。



 その後、何度か繰り返しマフィンを作り、私は金剛さんのマフィンのレシピをできるだけ正確に覚えた。分量さえ覚えてしまえば、この作り方は本当にシンプルかつアバウトで、とても簡単に作ることが出来る。2回ほど繰り返したところで、私の頭の中には金剛さんのレシピが完璧に叩きこまれたようだった。

『気になったら他のフルーツも色々使ってみて下さい。このレシピは応用が効きますから。いろんなフルーツが合うと思います』

 榛名姉ちゃんはそういい、ブルーベリーの他にも、溶かしたグラニュー糖をまぶしたバナナや、チーズなんかを入れたものも食べさせてくれた。そのどれも美味しくて、榛名姉ちゃんと金剛さんには本当に頭が下がる。

 最後に作ったブルーベリーのマフィンを二つ、手の平大のお皿に乗せて、私はそれを自分の部屋に持ち帰ることにする。一つはゆきおに上げるため。そしてもうひとつは、ゆきおと一緒に食べるためのものだ。

「よっし。これでできた! 榛名姉ちゃん! ありがと!!」
「いいえ。……雪緒くん、きっと喜んでくれますよ」
「うん!」

 榛名姉ちゃんと摩耶姉ちゃんには、後ほど夕食時に食堂で落ち合う約束をして、私は一度自分の部屋に戻ることにする。手には、二つマフィンが乗ったお皿。

「へへ……」

 今晩、ゆきおが帰ってきたら、このマフィンを持って、ゆきおの部屋に行こう。そして二人で食べるんだ。金剛さんと榛名姉ちゃんが教えてくれた、とてもおいしいブルーベリーのマフィン……ゆきお、喜んでくれるかな。

「早く帰ってこないかなー……」

 曲がり角を曲がり、珍しく誰もいない廊下を一人で歩いて、私は自分の部屋に向かう。廊下の窓から外を眺めると、まだ午後6時になったばかりだというのに、外は日が落ちて暗い。日が落ちる速さにびっくりしながら、私は自分の部屋へと早足で戻る。

「腹も減ったし……マフィンをしまったら、そのまま晩ご飯食べに行こっと」

 自分の部屋の前に到着した。お皿を両手で持っているから、懐からカギを出しづらい。左手でお皿を持ち、右手でカギをふところから出す。カーディガンの長い袖がちょっと邪魔だったが、そこはうまく調整した。だってゆきおのカーディガンだから。ずっと脱がずに着ていたいから。

 ドアのカギを開け、扉を開いて中に入る。部屋の中は真っ
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