17. 戻る日
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行われていたそうだ。
結果は常に榛名姉ちゃんの完勝。以来、血気盛んな戦艦や空母のみんなから演習の申し込みが殺到していて、榛名姉ちゃんは困惑しながら日々過ごしている……と金剛さんがこっそりと私に教えてくれたことがある。
そんな近況報告を行いながら、私と摩耶姉ちゃんは食堂に到着した。今は正午前。昼食にはいささか早い時間帯だが、すでに何人かは昼食を取り始めているようだ。私と摩耶姉ちゃんもそれにならい、厨房の鳳翔さんから昼食の天ぷらそばが乗ったお盆を受け取り、空いてる窓際のテーブルへと移動した。
「いい天気だなー……」
「だな。お日様の光があったけーな」
「うん」
窓の外はとてもいい天気。風は冷たいけれど、それがなければお日様の光はとても温かい。私と摩耶姉ちゃんは全身で太陽の光を浴び、光合成を行う植物のような気分で、身体をぽかぽかと温めた。
さて、今日はゆきおが戻ってくる。
「なー涼風。ずずっ……」
「摩耶姉ちゃんなにー? ずずっ……」
「お前さ。ずずっ……提督たちがいつ戻ってくるか、知ってっか?」
「夜の9時頃になるってゆきおが言ってた。ずずっ……」
「そっか……ずずっ……」
私とゆきおは、離れ離れになっても時々電話で話をしていたのだが……昨晩のゆきおの話によると、どうも戻ってくるのは、今日の夜ぐらいになるらしい。
『そっかー……久々だから早く帰ってきたら一緒にお菓子でも食べようと思ってたんだけど……』
『うん。ケホッ……ぁあそうそう、父さんから伝言』
『なに?』
『晩ご飯は適当に済ませるから、鎮守府のみんなはいつもどおりの時間に晩ご飯食べててくれって。ケホッ……』
『まだ風邪治んないのか?』
『うん。ちょっと長引いてるかも……ケホッケホッ……』
そのあとはいつものように楽しくおしゃべりをした後に電話を切った。戻る時刻を具体的に聞いたところ、少なくとも夜の9時は過ぎるんじゃないかと言っていた。9時といえば、お子ちゃまならもう眠ってるほどの遅い時間だ。そんな時間になるまで帰れないだなんて……ゆきおが大変なのか提督が大変なのかはわからないけれど、二人も色々と抱えてるものがあるんだなぁと思う。
「提督ももちっと気を利かせて、ずずっ……もっと早く帰ってくりゃいいのにな」
「仕方ないって。ゆきおと提督も、色々あるんだきっと。ずずっ……」
「ふーん……まぁお前は、帰ってきたら一緒に寝りゃ、雪緒と色々話せるもんなぁ。ずずっ……」
「うん。ずずっ……」
摩耶姉ちゃんの言葉に適当に返事をしながら、私はそばをすすり、海老天を口に放り込む。そばは香りもよくてコシも強く、のどごしつるつるでとても美味しい。海老天も衣はサクサクでエビもぶっとくて、口で噛み切るとプチンと心地良い弾力が気
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