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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epica3-Bマリアージュ事件〜Unidentified〜
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随分と「久しぶり」じゃないか。
「ええ、本当に。ここ数年はイリスも精神的に安定していたし。前世の私が表に出るのはダメだって思ってさ」
彼女はシャルロッテ・フライハイト。イリスの前世であり、かつては俺の敵であり、同僚であり、親友だった女性だ。シャルの言うように、5年ほど彼女がイリスの表層意識として上がって来ることはなく、ひょっとしてもう二度と逢えないんじゃないかと思っていたわけだが・・・。
「じゃあ今日は一体何をしに?」
「それよ、それ。ルシル! とりあえず私の頭を撫でなさい!」
「ああ!・・・はあ?」
シャルが「ん!」と頭頂部を俺に向けてきたから、「よしよし」と彼女の頭を撫でてやる。手を放そうとすると、「私が、もういい、と言うまで続けて〜♪」と猫なで声でリクエスト。久しぶりの再会だということで、俺はリクエストに答えて彼女が満足するまで頭を撫でることにした。
「はぁ。やっぱり好きな人に撫でてもらうのは気持ちが良い〜♪」
「そうか」
「ねえ、ルシル。ルシルがこれまでと同じように対人契約で残ることが出来ない。それは解ってるよ。でもさ。何か遺してあげられないの? あなたとの思い出だけじゃなくて、もっと形のあるものをさ」
「そんなことを言われてもな・・・。その日が訪れるまで稼いだ財産くらいしか遺せないぞ?」
少なくともあと数年は生き残りそうだから、それまでに稼いだ金は相当な額になるだろう。遺産と言うわけだ。だがシャルは納得がいかないのか「違〜う。そうじゃないっしょ〜」と頭をグリグリする。
「じゃあ一体、何を遺せると?」
「どうせなら子供を遺せばいいじゃない。愛する人との子供なら、きっと――」
また突拍子もない提案をしてきたシャルの言葉を遮るように「喜ぶわけないだろうが」と言い放つ。
「俺との間に子を成す? 俺との失恋でいつかはまた、彼女たちも新しい好きな男が出来るだろう。そこに俺との子供が居たら邪魔になってしまうだろうが。それに片親というのも子供が可哀想だ」
彼女たちと子供を成すのは俺だって別に嫌じゃない。俺だって普通の人間だったら、恋をして、結婚をして、家庭を持って、年を取って、そして家族に看取られて逝く、そんな当たり前な生き方を歩みたかった。だが俺は人間じゃない。そして同じ時間を過ごすことが限りなく短い宿命を背負っている。そんな俺との間に子供を成す彼女たちが可哀想だ。
「それでもルシルと結ばれたいと思うよ?」
「たとえそうでも・・・。さっき言ったように失恋から新しい恋が芽生えることだってある」
「じゃあさ。はやてやイリス、トリシュが、自分の知らないところで、自分以外の男と恋に落ちて・・・っていうか、ソイツのものになって悔しくないの?」
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