3話 ハコベ山にて
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ッ!!
と、大きな音を立て、馬車は動きを止めた。
「きゃあ!?」
「う?」
「とまったぁ!!!」
「着いたのかなー?」
「すんませーん、これ以上先へは進めませんわぁ」
目的地に着いたのかと思った矢先、馬車を動かしていた人物から聞かされたのは進めないという言葉……
仕方なく、三人と一匹は馬車を降りて徒歩で目的地を目指す……が
「さーむーいーっ!!! どーなってんのよ!? 山の方とはいえ今は夏でしょ!? こんなに雪が降ってるなんて異常よ異常っ!!」
「そんな薄着してっからだろ」
「あんただって変わらないでしょ!」
もの凄い吹雪の中、薄着で来てしまったルーシィは声を張り上げ、ナツはきょろきょろと辺りを見回しながらルーシィに返す。
「うぅー……それにしても寒すぎる……」
「……ここは、夏でも変わらず雪の降る地……季節の変わらない、一年中冬の山」
ルーシィの後ろを歩きながら、ぽそっと呟くシロ。その言葉にはぁ、とため息をつくルーシィ。
その息は真っ白であった。
寒そうに手をこするルーシィを見つめ、ふとシロは羽織っていたローブを脱ぐと……
パサッーーー
「……え?」
「これ、貸してあげる」
震えるルーシィの肩にローブをかけた。
「え、でも……それじゃあシロの方が」
ローブを脱いだシロの服装はルーシィと変わらないくらいの薄着で、シロの方が寒くなってしまいそうであった……。
が、シロは首を横に振ると
「大丈夫……シロは、寒さを感じないから……問題ない」
と、告げた。
「でも……(感情がないから寒さを感じないってこと……? でも、既にシロの鼻真っ赤だし……手だって……)」
寒さで赤くなり始めているシロの鼻や指先、肩を見つめ、やはりローブを返そうとするルーシィ。
そこに
バサッ!
「う?」
前を歩いていたナツが戻ってき、シロの肩に毛布をかけ、羽織わせた。
「たくっ、んなに赤くなって寒さ感じないなんてあるわけねーだろ、ほらこれ羽織ってろ」
「……ん」
肩にかけられた毛布の裾を握り、顔を埋めるシロ。
「……て、あんた……シロにはほんと優しいのね」
一連の動作を見ていたルーシィは自身との対応の違いに半分諦め、呆れを見せる。
「はぁ? たりめーだろ、シロは大事な奴なんだからよ」
「あー、はいはい……」
何言ってんだルーシィ? と言った様子のナツにため息を深くつきながら文句をやめたルーシィ。
シロがローブを貸してくれたがそれでもまだまだ寒い……
「あ、そーだ!!」
寒さを凌ぐためにある方法を考
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