ペルソナ3
1797話
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瞬間に荒垣の口から出たのは、俺の予想を裏付ける言葉だった。
「これは召喚器だ。これがあれば、ペルソナを簡単に出せるようになる筈だ」
そう告げ、荒垣は召喚器をゆかりに差し出す。
それが何を意味しているのかというのは、当然のようにゆかりにも理解出来たのだろう。
戸惑ったように、そして若干困ったように、ゆかりはこちらに視線を向けてくる。
「え? でも……その、いいの? これは荒垣さんの使う召喚器なんでしょう? それを私に渡しても……」
「構わねえよ。元々、俺はもうペルソナを使ってどうこうするなんてつもりはねえんだからな」
そう告げる荒垣の様子は、虚勢を張っている訳でも何でもない、ただ正直に言葉を発しているだけ……といった様子だった。
「この召喚器を使えば、少なくてもペルソナを出そうと思って出せないって事はなくなるだろ。お前がタルタロスに挑む上では必要になる代物だ。もう使わない俺が持ってるより、お前が持ってた方がいい」
半ば押しつけるような、そんな風に召喚器を渡す荒垣に、ゆかりもそれ以上は何も言わずに受け取る。
「ありがとうございます」
「アルマーの奴は色々と無茶をするからな。何かあったら、お前が止めてやれ」
「……私に止められるとは、到底思えないんですけどね」
何故か苦笑を浮かべるゆかりに、荒垣は何故か納得したような表情を浮かべる。
この2人の俺に対する意識って、どんな風になってるんだろうな。
その辺り、少し気にならないでもない。
「とにかく、ゆかりは召喚器があればペルソナを使いやすくなるんだろ? なら、それでいいだろ。……じゃあ、そろそろタルタロスに行くぞ」
そう告げ、荒垣とゆかりの準備を整えさせるといつものように影のゲートを展開し、そこに身体を沈めていく。
「おわっ! お、おいアルマー! これ、本当に大丈夫なんだろうな!」
初めての感触に、荒垣の口から悲鳴のような声が出る。
強面の荒垣にしては珍しい態度ではあるが……この辺り、初めて影のゲートを経験するのであれば、ある意味当然の結果なのだろう。
「心配するな、この魔法は今まで何度も使っている。それに、ゆかりを見てみろよ。悲鳴を上げたりなんかしてないだろ?」
「……私の場合は、もう慣れたってだけなんだけどね」
ゆかりの口から漏れた声が聞こえてくるが、それは聞き流し……やがて俺達3人の姿は完全に影に沈むと、次の瞬間にはタルタロスの前に姿を現す。
エントランスに直接転移してもいいのかもしれないが、タルタロスの中だけに何が起きるのか分からない。
そう考えれば、やっぱりここに出てから自分の足でタルタロスに入って、エントランスに向かうのが最善の結果だろう。
「……っ!? タルタロス、か
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