第67話<まつりごと>(改2)
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いうことは無い。
中央では海軍自体だけでなく、陸軍や空軍との軋轢もあるというが、少なくともこの山陰では、そういった争いも無く平和そのものだ。
この会場に居る艦娘たちも周りからは海軍かどこかの軍人だろうと思われているに違いない。
軍人は転属が多いから地方では周りと少し違った「香り」を感じさせる人が多いものだ。特に境港は港町だから、船乗りが多い。
彼らと同じ雰囲気を、艦娘たちも持っているのだ。
だから境港市民たちからは、彼女たちはちょっと、あか抜けた若い女性と、それを束ねる指揮官という構図にしか見えないだろう。
ちょっと脱力した山城さんと日向から解放された私は、周りを改めて観察する。
艦娘たちは美保に来て伸び伸びとしている。そんな彼女たちを見ていると、この美保鎮守府には何らかの意図があって艦娘を意図的に寄せ編めているのではないか?
ふとそんな思いにもなるった。
会場に祭りを締めくくる放送が流れ花火大会は無事に終わった。
周りを見ると気の早い人は帰り始めている。ただ広場では、まだ盆踊りを続けるようだ。
艦娘たちも一部には、まだ踊りたい面々もいるようだが……休暇は今日一日だ。そろそろ切り上げるべきだろう。
私はコレ幸いと立ち上がって号令した。
「さあ、もう帰ろうか?」
無意味な対立を続けていた二人の戦艦娘は我に返ったよう「ハッ」とした。
対抗意識を燃やすこと自体は軍人としては決して悪いことではない。
でもさすがに、お互いがバツの悪そうな顔をしている……そんな姿を見ると、こいつらも可愛いな。
山城さんに至っては今にも泣き出しそうな表情だ。そんなことなら最初っから張り合わなければ良いんだ。
まぁ、こういう単純なところは艦娘らしい。日向も居心地の悪そうな表情をしている。
それでも彼女たちの顔を見ていると少々可哀想になったので声をかけた。
「二人とも、ありがとう。今日は楽しかったよ」
社交辞令だけど、その一言で場が和んだ。
(やれやれ)
でも山城さんは、余ほど恥ずかしかったのだろう。しばらく固まっている。
一方の日向は、最初は手のひらで顔を覆っていたが、直ぐに顔半分を覆った状態で聞いてきた。
「司令、念のため夜間偵察をさせていた銀河からの報告です」
「うむ」
……その不可思議な格好は止めて欲しいな。せっかくの美人が台無しなんだけど。
彼女は続ける。
「この境港駅周辺から海岸通りにかけて花火大会後の大渋滞が発生。トラックでの迎えも今からだと1時間以上かかります」
「そうか、少し時間があるか」
広場では、まだ盆踊りも延長しているようだし。仕方ない少し踊るかな……と思ったら、青葉さんだ。
「全体で記念写真、撮りましょう!」
彼
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