16. ちょっと行ってきます
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「おーい涼風。ニヤニヤ」
「ん? どしたー摩耶姉ちゃん?」
「一緒に行かなくていいのか?」
「いいんだよっ。ゆきおは準備で忙しいんだからっ!!」
「準備を手伝ってやりゃ雪緒だって喜ぶだろうに」
……私だって出来れば手伝いたいけれど……摩耶姉ちゃんは知らない。ゆきおは、自分のことは極力自分でやりたがる。どうしても無理な時は仕方なく私に頼むこともあるけれど、そうでなければ、意地でも自分ひとりでやろうとする。
「ゆきおは、あたいが手伝わなくても自分でやるからいいのっ」
「そっか。お互いのこと、よくわかってんだなぁ。ニヤニヤ」
……あ、そういえば。摩耶姉ちゃんと榛名姉ちゃんに聞きたいことがあったっけ。
「そういやさ。ちょいと二人に聞きたいことがあるんだ」
「ほ?」
「はい?」
以前、ゆきおと二人でデートしてた時、あのフードコーナーのお姉さんに言われたこと……
――男のパンツ姿ってのぁーな。その時がこなきゃ、見れないもんだ。
その後の騒動ですっかり忘れていたけれど……最近、そのことを思い出して気になっていた。男がパンツ姿を見せる『その時』って何だ?
ゆきおには内緒だが、実は私は、昨晩こっそりゆきおのパンツを見た。夜中にフと目がさめて、隣を見るとゆきおが『んー……ショートケーキ……いちごがすずかぜに……ッ!?』と気持ちよさそうに寝言を言いながら眠っていた。気持ちよさそうに眠っているゆきおの寝顔を眺めていたら、あの時の気持ちをふつふつと思い出してしまい……
「こっそり見ちまったんだよ。ゆきおのパンツ」
「「……」」
「この前デートしたときに買った、ケツに水戸黄門の印籠が描かれてた真っ赤なパンツだったんだけどさ」
「「……」」
「それはまぁ別にいいとして。男が女にパンツ姿を見せる『その時』って一体いつだ? あたい、さっぱりわかんねーんだけど」
私は至極真面目な話をしているはずなのだが……摩耶姉ちゃんはあからさまに困惑の表情を浮かべ、榛名姉ちゃんは苦笑いが止まらず、お茶を注ぐ手が震えている。私の質問は、二人を困惑させるのに充分な威力を持っていたようだ。それはまぁいい。腑には落ちないけれど。
妙なのは、そんな二人のほっぺたがほんのり赤いということだ。なんだ恥ずかしいのか? 私は別に恥ずかしい質問をしているつもりはないんだけど……。
「榛名」
「は、はい」
「教えてやれよ」
「榛名がですか!? 摩耶さんが教えればいいのでは!?」
「あ、あたしは……その……柄じゃねぇし……」
おかしい……この二人ならきっと教えてくれると思ったんだけど、二人とも顔を真っ赤にして、互いに擦り付け合っている……これはますます気になる。私は二人にさらに詰め寄っていく。さながら真犯
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