16. ちょっと行ってきます
[5/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
後、完全にへそを曲げた提督いわく……三日後、提督とゆきおは、二週間ほど鎮守府を離れるそうだ。そのことを伝えるため、提督はわざわざ、ゆきおと私たちを執務室に呼んだのか……
その話を聞いた時、私は最初、『わざわざここで話さなくてもいいんじゃないか』と思った。わざわざ私たちの前で今そんな話をしなくても、いつものように夕食の時にでも、みんなの前で話をすればそれで済むじゃないか……と思ったのだが、それは何か言えない理由があるようだ。
「……ゆきお」
「ん?」
「あの日が決まった」
「……うん」
「いいな?」
「うん」
そんなやりとりを交わすゆきおと提督が、ただならぬ雰囲気を漂わせていたことから感じ取れた。
それが一体何を意味しているのか、詳しくは私にはわからない。でも、ゆきおは男の艦娘第一号になるためにここにいる。ということは、ついにゆきおが艦娘になる日が近いのかも知れない。ひょっとしたら二人は、その為に鎮守府を空けて、司令部に行くのかも……
提督が言うには、不在の間は大淀さんが鎮守府の運営を任されるそうだが、特に何もない限り、鎮守府の活動はストップするそうだ。私達も、ちょっと長い休みがもらえる。その休みをゆきおと一緒に過ごせないのは、ちょっと残念だけど。
「そういうわけだ。すまん涼風。ちょっと雪緒を連れてくから」
出来ればゆきおは置いて、提督だけ一人で行って欲しかったが、それを口に出すことは出来なかった。なぜなら。
「……ごめん涼風」
「へ? なんで?」
「昨日は『ずっと一緒』て言ったのに……」
「いいじゃねーか! 大切な用事なんだろ? あたいは待ってるよ!!」
「うん」
「だから帰ってきたら、いっぱい話そうぜ!!」
「うんっ」
私に謝るゆきおの手が、その瞬間、私の手を強く握ったからだった。
そうして、ゆきおと提督が鎮守府を離れる日までの2日の間は、特に何事もなく過ぎていく。変わったことといえば、私が夜、眠れるようになったことで、出撃や遠征に出ることが出来るようになったことと……
「まーたお前ら一緒に寝てたのか……」
「まぁねー」
「ぼくらは二人で一人だからー」
私とゆきおが、一緒に寝るようになったことぐらいだ。確かに提督にはいい顔をされなかったが、逆に言えば『ダメだっ!!』と言われたわけでもない。ならば私は……ゆきおと名コンビで、二人で一人の私は、ゆきおとずっと一緒にいたい。それに、ゆきおと一緒に眠れば、私も怖い夢を見ずに済む。
昨晩も一緒に眠った私達は、二人で手を繋いで、食堂まで朝ごはんを食べに向かった。食堂では摩耶姉ちゃんと榛名姉ちゃんが朝ごはんを食べながら私たちを待ち構えていたようで、手を繋いで一緒に食堂に入る私たちを、榛名姉ちゃ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ