16. ちょっと行ってきます
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ひたすら呆れ果てるばかり。
私たちの後ろの摩耶姉ちゃんは『ヒー……やめてくるし……腹痛い……アヒャヒャヒャ……!!!』と酸欠気味な声を上げ、榛名姉ちゃんもついに『こ、これは榛名も……ぶふっ……ヒョヒョヒョ』とキレイでおしとやかな榛名姉ちゃんにあるまじき笑い声を上げ始めた。ドッタンバッタン激しい音が聞こえてるから、どちらかが床の上で転げまわってるのかも知れない。きっと摩耶姉ちゃんだけど。
「ヒー……ヒー……て、提督……ブホッ」
ひとしきり私たちの醜い言い争いが続いたあと、ついに摩耶姉ちゃんが横槍を入れた。だけどその声は、ホントに息苦しそうで、聞いてるこっちを不安にさせる。
「なんだ摩耶ぁ!!!」
「ちょ……突然怒鳴っても……ブヒャヒャヒャ……もはや威厳ゼロ……アヒャヒャヒャ!!!」
かと思えば、また摩耶姉ちゃんは吹き出し、再びドッタンバッタン激しい音が執務室に鳴り響く。耐えられなくなった摩耶姉ちゃんが再びお腹を抱えて大笑いしているようだ。やっぱりさっきのドッタンバッタンの犯人は摩耶姉ちゃんだったのかっ。
「ブフッ……て、提督。これはもう……二人が一緒に寝るのを……ブフゥ……認めては……オフッ……いかが、かと……」
今度は榛名姉ちゃんが横槍を入れた。摩耶姉ちゃんほどではないが、榛名姉ちゃんも必死に笑いを押し殺しているつもりなようだが、我慢しきれてない笑いが時々噴き出している。
「笑うな榛名ァ!!」
「ブフッ……いや、榛名は……ンブッ……だいじょ……んくっ……ぶ……ブフゥ」
「全然大丈夫じゃないだろうがァ!!」
不思議だ。この鎮守府に来てから、この提督がこんなに怒鳴ってるのを見たのははじめてなのに、全然怖くない。むしろ微笑ましい。こんなに大声で怒鳴る人でも、自分の大切な人の前だと、『だいしゅきぃ』て言ったりするんだ……
私にとっての大切な人は……誰だろう……少しだけ、ゆきおの方に視線を移す。ゆきおは相変わらず、提督をキッと凛々しい瞳で、まっすぐに見据えていた。
「……で、どっちが本当なんだよ」
「ぼくだッ!!」「あたいだッ!!」
「……」
「違うぼくだッ!!」「違うあたいだッ!!」
互いに引かない私たち。二人で提督をキッと見据える。目は合わせないけど、私たちはずっと手を握っていた。
提督はそんな私達の顔を交互に見て、フゥっとため息をついた。私たちの追求を諦めたらしい。がっくりと肩を落としていたから、本位ではなかったようだけど。
「……で、ここからが本題なんだけどな」
「え!? あたいたちに説教くらわすために呼んだんじゃないのか!?」
「甘えん坊父さんなのに!?」
「誰が甘えん坊父さんやねん。お前ら一回大人社会の厳しさを教えてやろうか」
その
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