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俺の涼風 ぼくと涼風
16. ちょっと行ってきます
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て私と一緒に海に出て、一緒に出撃出来るんだ。そのことは私もうれしい。

「ゆきおっ!」
「ん?」
「へへ……」

 だから、今日ゆきおと提督が東京に向かうことは、私も嬉しいことなんだ。だから、沈むのはやめよう。私がそう決意し、ゆきおの手をギュッと握ってほほえみかけた時、私達は正門に到着していた。

「おまたせ父さん」
「おっ。涼風も一緒か」
「おうよ!」
「見送りに来てくれたのか?」
「あたぼうよぉ!」

 すでに待っていた提督が、私たちに声をかける。提督はいつもの白い上下の制服だが、胸の辺りにいくつか勲章がついていた。いわゆる外出用の礼服のようだ。私が提督と言葉を交わしている間に、ゆきおがキャリーケースを車の運転手と思しき人に預けているのが見えた。運転手さんはキャリーケースを持ち上げ、車のトランクを開いてその中に突っ込んでいる。

「……あ、ちょっと待って」

 トランクの蓋を閉めようとした運転手さんを制止したゆきおが、一度キャリーケースを開いているようだ。中をごそごそとまさぐったあと、中から何かを取り出し、それを私の前まで持ってきた。

「?」
「すずかぜっ」
「どした?」
「ケホッ……はいっ」

 ゆきおが持ってきてくれたもの。それは、いつもゆきおが羽織っている、クリーム色のカーディガン。ゆきおは優しく微笑みながらそれを広げ、私の肩に羽織らせてくれた。

「ぼくがいない間、それ羽織ってなよ。あったかいから」

 そう言うゆきおの優しい微笑みに、私の胸がギュッと締め付けられる。

「え……でもゆきお」
「ん?」
「そしたら、ゆきおは東京で何を羽織るんだよ?」
「ぼくは大丈夫。それより涼風だよ。もう真冬なのに肩出して、すんごく寒そう」

 そう言って、ゆきおがカーディガン越しに私の肩に触れてくれる。ゆきおのカーディガンはふわふわと心地よく、そしてとても温かい。たった一枚、薄っぺらいカーディガンを羽織っただけなのに、こんなにも私の身体が温かくなる。

「おーい雪緒ー。そろそろ行くぞ」
「はーい。分かった」

 提督が車の中からゆきおを呼んだ。別れが近い。

「んじゃ、涼風」
「う、うん」
「……行ってくるね」

 もうちょっと触れていて欲しかったのに、私の肩から、ゆきおの手が離れた。ゆきおが後ろを振り返り、そして車に向かって歩き始める。

「ゆ、ゆき……」

 その背中は、男の子とは思えないほど小さくて、とても華奢で細っこく……

「ゆ……ゆきお……ゆきおーっ!!!」
「? 涼風?」

 そしてとても温かく、なによりとても優しい。……私が大好きな、ゆきおの背中だった。

 私が名前を呼んだことで、ゆきおは立ち止まり、私を振り返ってくれた。私の気
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