16. ちょっと行ってきます
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官のようにほくそ笑み、結果、今私とゆきおは、提督から呼び出しを食らって、この執務室にいる。
私たちの背後には、摩耶姉ちゃんと榛名姉ちゃんがいる。二人が今どんな顔をしているのか分からないが、時々『ニッシッシ』といういやらしい笑い声が聞こえてくるから、少なくとも摩耶姉ちゃんは越後屋のように邪悪なほほ笑みを浮かべているはずだ。
「あのなぁお前ら……」
うなだれた提督は、がっくりと肩を落としつつ、ため息混じりに話をすすめた。私はすこーしだけ顔をあげ、ゆきおの様子を伺う。ゆきおは相変わらず、提督をまっすぐジッと見ていた。ともすれば睨みつけているようにも見えるほど、真剣な眼差しだった。
「なに?」
「涼風がお前によくしてくれてるのは知ってるし、仲がいいのはいいことだ」
「じゃあ何がダメなの?」
「だからっつって、一緒に寝るってのはなぁ……」
視線をゆきおから提督に移す。提督は自分の帽子を脱ぎ、うつむいたまま、困った顔で頭をぽりぽりとかいていた。『注意したいが、どう注意すればいいのか分からない』提督の顔には、そんな言葉が書いてあるように見えた。
「ぼくが男だから?」
「まぁ……そうだなぁ」
二人の声の調子だけを聞いていると、どっちが追い詰められているのか分からない。ゆきおはきっぱりハッキリと提督に質問をし、提督がしどろもどろになりながら答えている……そんな感じだ。
そんな二人の様子は、私たちの後ろの二人にとっても、可笑しい状況らしい。『クックックッ……』という摩耶姉ちゃんのいやらしい含み笑いと、『タハハ……』という榛名姉ちゃんの苦笑いの声が聞こえる。
「父さんだって昔、母さんと一緒に寝てたじゃないか」
「あれはいいんだよッ!!」
「母さんの名前を呼びながら『だいしゅきぃ』って寝言言ってたらしいじゃないかっ」
「今その話するか!? みんなの前で自分の父親の醜態の話するか普通!?」
背後から『ブホッ!?』という、摩耶姉ちゃんが吹き出した声が聞こえた。私もつられてつい吹き出した。まさか提督に、そんな甘えん坊な一面があったとは……!!
「お前……むかつくほどあいつにそっくりになってきたな……」
「母さんの息子だからね。それにさっきの寝言は、母さんが教えてくれた」
「……なんだと?」
「『父さんは頼りがいがあってすごくカッコイイけど、ああ見えてホントは甘えん坊でカワイイ人なんだよ』って言ってた」
途端に提督の顔が真っ赤に染まる。スッと立ち上がった提督は私たちに背を向け、無言でそばの本棚に頭を何度もガンガンとぶつけ始めた。摩耶姉ちゃんが『アヒャヒャヒャ!!! はらいてぇ!!?』と腹を抱えて大笑いしはじめ、榛名姉ちゃんは『あは……アハハハハ……』と苦笑いに拍車がかかる。
私
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