暁 〜小説投稿サイト〜
秋祭り
第二章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「神社の境内で暴れたりとかしないわよね」
「そんな罰当たりなことしないわよ」
「本当に?」
「本当よ」
 確かな声でだ。青空は言い切る。
「そんなね。お酒は飲むけれど」
「やっぱり飲むのね」
「御神酒よ、御神酒」
 般若湯と同じ意味の言葉だった。青空にとっては。
「御神酒を頂くだけよ」
「御神酒っていうと」
「日本酒。日本酒もいいわよね」
「結局お酒なら何でもいいの?」
「お坊さんだって飲むじゃない」
「まあそうだけれどね」
 その般若湯だ。僧侶も昔から何だかんだで飲むのだ。
「それでも。飲み過ぎはね」
「駄目っていうのね」
「食べるのはいいけれど」
「それはいいの」
「だって酔わないじゃない」
 食べ物にはアルコールは入っていない。だからだ。
「そうでしょ。青空ちゃんお祭りとかだと本当にいつも飲むんだから」
「お酒のないお祭りって何よ」
 未来があまりにも言うのでだ。青空は口を少し尖らせて言い返した。
「それって何なのよ」
「何なのって言われたら」
「それはもうあれじゃない。クリープのないコーヒーよ」
 非常によく使われる表現だが青空もそれを使ってきた。
「ついでにお砂糖もお茶菓子もない」
「素っ気無いっていうのね」
「そうよ。だからお祭りではね」
「飲むのね、今回も」
「そうよ。飲むわよ」
「やれやれね。それじゃあね」
「それじゃあって?」
 青空が問い返すとだ。未来は困った顔でこう答えた。
「せめてだけれど」
「潰れるなっていうのね」
「そう。酔い潰れないでね絶対に」
「じゃあお酒は一升にしておくわ」
「一升って」
 瓶一本だ。日本酒の標準的な単位だがかなりの量である。
「それだけ飲むの」
「これだけだと酔わないからね」
「一升なんて本当に飲むの?」
「私これ位じゃ全然酔わないから。後はね」
「何を食べるか?」
「あっ、そうじゃなくてね」
 また別の話題だった。青空が笑顔で言うことは。
「あれよ。お祭りじゃない」
「さっきからお話してる通りね」
「だったら浴衣とかは」
「秋だからそれはね」
 ないとだ。未来はこう答えた。
「残念だけれど」
「ああ、浴衣は夏限定だったわね」
「もう晩秋だから浴衣だとね」
「寒いわよね」
「あまりお勧めしないわ。振袖だとお正月だし」
 そちらの着物もだ。よくないというのだ。
「また別になるわよ」
「ううん、残念ね」
「残念でもよ。仕方ないから」
「じゃあ何を着ていこうかしら」
「普通の服でいいじゃない」
 未来は服の話題については素っ気無く答えた。
「別にね。
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ